再熱
□その5
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「で…蘭ちゃんお風呂はえぇの?」
「ん?あぁ…忍足先に入りなよ」
とそんな感じで忍足と蘭も風呂に入り、何かするだろうと思っていた忍足だったが…
パジャマ姿で出てきた蘭は忍足に目をやるでもなく_
「…寝るわ」
「えぇっ!?」
(もう寝るん!?何かないん!?)
蘭は、信じられへん_と絶句する忍足を無視して
ベッドシーツを剥ぐって持って行き、ソファーに横になる
「って、そんな所で寝たらあかんって、ベッド使って」
「いいよ、一緒に寝たら何されるか分かんねぇし、このソファーじゃ忍足には小さすぎるしな…それとも床で寝るか?」
「…」
返事のない忍足を見て、んじゃ、おやすみ_とシーツに潜り込む蘭
「…ぁ?なに?」
ソファーの下の床に忍足が座って、丁度横になっている蘭の胸辺りで忍足の後頭部がひょこっと顔を出している感じ。
「蘭ちゃん寝るまで、DVDでも見ようと思って」
そう言って目の前の大きなTVの電源をリモコンボタンを押して付けられた_
自然と蘭の目線もTVへと向けられる
「ラブロマンスか…つまらなそう」
「これ面白いんやで_」
テレビの中で映し出される男女の運命的な出会い、そして喧嘩やすれ違い_
「……」
(面白いけど、共感は難しいな_)
とか思って忍足に目を向けるとボロボロ泣いている
(なにそれ、今の何処で泣けたのかさっぱり分かんねぇ…)
エンディングロールが始まってもその涙を拭う姿が止まらない_
けど…可愛い_
忍足の頭に優しく撫でるように手を乗せる
特に反応を示すわけでもなかったが、エンディングが終わって暫くすると、徐々に落ち着いてきた涙、手を放そうとしたら、忍足がその蘭の手を掴んで振り向いた
「もうちょっと…」
そう言って嗄れた声で言われて、蘭は反射的に微笑むと少し体を起こして忍足の頬の涙を反対の手で拭ってやる
「しゃぁないなぁ・・・」
ヨシヨシ_と先ほどよりも少し力を銜えて撫でてやると、やっとその顔に笑顔が浮かんだ_
DVDが終わり、眠そうに目を擦る忍足_
「ベッドいって寝なさい」
そう言って、蘭が手を放して、シーツへと潜ってしまい、忍足は名残惜し気な目をしてみたが、蘭がシーツから顔を出す気配が見られず、渋々と自分もベッドへと向かった。