再会
□愚問
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ふ、と意識が浮上した時、エースは自分のベッドの上だった
窓から差し込む日の筋をぼんやりと目で追う
いつの間にか朝を迎えていたらしい
俺はいつ部屋に戻って寝てしまっていたんだろう?と考える
確か...昨日はあの後、結局メルとは会わなくて
そうだ、サッチ達と酒を飲んだんだ___
それにしても、今朝は二日酔いなのに妙に気持ちがいい
甘い匂い...それに、肌触りのいい抱き枕...
「...抱き枕?」
そんなものこの部屋にあっただろうか_
ぼんやりしながらエースは自分が抱える抱き枕を見下ろした
「おはようございます」
「........」
抱き枕と思っていたのはメルで、彼女もたった今目を覚ましたのか動きはどこか緩慢だ
俺の胸に頬をつけて、ぴったりと密着したまま上目遣いで見上げられている
「おはようございます、エースさん」
返事のないエースにメルはもう一度挨拶をした
「お...おぅ...」
ふあ_と小さなあくびをする姿が可愛くて、エースは彼女に回した両手を離す事さえ忘れて見とれてしまっていた
「もう少し驚くかと思いましたが...」
あまり驚かないのですね_
無表情の彼女がそう呟いて、ようやくエースが悲鳴を上げた
「おっおっお前!いつの間に忍び込んだんだよ!?」
シーツを手繰り寄せて身体を隠し、ベッドの隅へ非難するエースを横目に
メルはベッドから降りてカーデガンを羽織りながらいつもの無感情な視線でエースを見下ろした
「鍵が掛かっておらず不用心だったので」
彼女の何の答えにもなっていない返答にエースは生娘の如く顔を赤らめて、それをごまかす様に大きな溜息を無理矢理吐き出した
「かーっ...あのなぁっ 「エースさん」
「んだよ? 」
「昨日、言えなかったので
好きですよ、エースさん___ 」
「...お...ぅ____ 」
無表情が微笑んだ気がして、エースは間抜けな返事をするので精いっぱいだった
エースに伝えた好きという言葉に嘘はない、しっかりと私の気持ちは伝わっただろうか
自身の表情が他人とは違い乏しいことは承知している、彼は...こんな私のどこがいいのだろうか___
微かな不安が胸をよぎった刹那、そんな物はすぐに消えてなくなった
ベッド脇に避難していたエースが飛びかかる様にして私を抱き締めた
「俺も___俺も好きだ!」
照れくさそうにそう言って私の額に頬擦りをする彼を、そっと抱きしめ返した
そして思う____
私がアナタを守るから______________