メイド
□未完成
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初めて乗り込んだ海列車は、威勢のいい大きな溜息のような噴射音を響かせて、汽笛が空気を揺らした
プシューーー...ポッポーーーー____
海列車が走行をはじめるとメロは車窓の美しさに目を奪われた
「綺麗...」
メロの声にクザンもチラと窓の外を見た
紺青の海は無関心そうに平和に凪いでいる...
「...そうだね」
クザンはその様子を微笑ましく見守っていたが、心地よい揺れにいつの間にか眠ってしまった
クザンが余りに無防備に眠ってしまったものだから、メロは自分は眠らないように海から視線を離して姿勢よく着席した
温泉に行くのなんて何年ぶりだろうか...
時折クザンの寝顔に目を向けては眠らないように考え事をする
半時間程だろうか、快晴だった空が曇り空に変わり雲が暗澹と動いている
車両が駅を通過し、車内がにぎわった頃
男女、子供、それに...狸?を連れた団体が海王類が大きな波しぶきを出して跳ねたあたりを指さして捕まえる食べるどうのこうのと話している
麦わら帽子の男が今にも窓から身を乗り出して狩りにでも行こうとするので小さな女の子が怒鳴った
「サンジ!晩飯にアレ捕まえるぞ!」
「ちょっとルフィ!遊びに行ってるんじゃないのよ!」
ルフィ…その名には聞き覚えがあった、海賊麦わらの一味船長だ
あのマリンフォードでの戦争で先陣を切った海賊の船長
今では知らぬ者は居ないだろう
メロはクザンの顔を横目にしたが、彼はまだ夢の中である
起こすべきか迷ったが、メロはクザンを残して席を立った
彼等も終点であるセカン島が目的地なのだろう
海賊の彼等が船に乗らずに海列車を使用しているのは不思議ではあったが、目的地がセカン島ならば
きっと海軍避けかはたまた、別の理由があるのだろうか…
そんな事を考えながらメロは彼等の座る席の前へ到着した
「…下処理をしなければ
食べると体の骨が溶けてしまいますよ」
セカン島...
クザンが言った通りその島にはいくつもの温泉宿があり、観光客やらが街中を行き交っている
「」