副船長

□始動
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えっ!?待って!!めちゃめちゃ積んでる!!めちゃめちゃ積んでるから!!




_____トンッ

この世界に来て初めて踏む土の感触

何処か外国の田舎を思わせる雰囲気の賑やかな港町
色彩豊かな建物に囲まれた活気溢れる市場もまた美しく、
色とりどりの野菜や果物がこれでもかと積み上げられている_

そのどれもこれもが珍しく私には初めて見る光景で忙しなくキョロキョロと視線をさまよわせてしまう

「…蘭……」

ベンさんに呼ばれてハッとする
気づかないうちに少し距離ができてしまっていたようだ
初めての上陸でいい歳した大人が迷子という不名誉な称号は頂きたくない為慌てて開いてしまった距離を詰める

「…ッスイマセン……珍しくて…つい;;」

「…ククッ……目を離さない方が良さそうだな」

「…反論の余地なしですね…;」

「お嬢さん手を出してくれるか…」

「…?…お手ですか?…ワン…」

「…フッ…まぁそれでもいいが………
鎖で繋ぐ訳にもいかねぇだろ……」

ベンさんの手の上に軽く握った手をポンっと乗せてふざけてみせるとベンさんは私の手を開かせ握り直すと前を歩き出してしまった

何が起きたのかポカンと呆けている間に引かれる腕が改めて手を繋がれたのだと自覚した

普通の女の子達よりか一回り大きな自分の手を容易く包んでしまえるベンさんの手は大きくて温度は少し低い
それが2人手を繋いでいるとゆっくりと温もりが伝わって心地いいのはその相手がベンさんだからだろう…

アチラにいた時と同じゆっくりとした歩調で歩いてくれるベンさんになんだか嬉しくて擽ったくて

「…クスクスッ……」

「…?どうした……」

「なんでもないんです…」

「そぉか……」

引かれるままゆっくり歩いて目的地までもう少しだけ…





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