メイド
□メイドたる者
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三日目、議事の間で面接が始まる
メロは三番目、議事の間の外の廊下に並べられた椅子に腰かけてそこから見える空に目を向ける
水色の広がる空に所々薄いシミのような白い雲が横長に伸びている
遠くには重たそうな灰色の雲が徐々に押し迫ってきていた
寒そうな空だ・・・
物思いにふけるでもなく、ボーっと時折瞬きをしてその光景を見つめる
いつの間にか順番が回ってきた
「失礼します」
丁寧に頭を下げて部屋に入ると
センゴクを中心とし、数名の強面な大将たちは、その目つきだけで人の命を奪えそうな視線をメロ一点へと向ける
「メロと申します、よろしくお願いします」
身じろぎもせず、顔のパーツを微動だにさせないその顔を、センゴクへ向ける
まるで彼女の周りが時間を減速させ、透明な膜がそれを覆っているかのようにも思えたが
センゴクの咳払いがプツリ_とその膜を破った
「どうぞ、掛けなさい」
「失礼します_」
センゴクに促され、中央の椅子へ腰かける
「ところで君は…寒いのはどうだい?」
面接でこんな事を一番初めに聞かれるとは思わなかった
この三日間、寒いのは嫌というほど味わった
だが、さほど、苦痛にも思わなかった…
「寒いのは得意です」
「なるほど…うん、じゃ、君は青雉のところだね」
「…はい」
なんのことかサッパリわからないが、とりあえず返事を返すとセンゴクが少し笑って
「明日からクザン大将のもとでメイドをするといい」
と…
あぁ、合格か…
それにしてもそのクザン≠ニはどいつだろうか
首を大将たちへ向け、視線を動かす、丁寧に置かれたネームプレート、そこにクザンの名を見つけて、主人を確認し視線が絡み合う
教卓の前にいた、あの5分で会場をピカピカにした男が
よっ_とくつろいだ顔で片手をあげて挨拶する
「・・・・よろしくお願いします、ご主人」
ふんわり_と…
風を受けた花が揺らいで匂うように、メロは先ほどの無表情から笑顔をひらいた……