メイド

□メイドの気持ち
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あの日から二日後_




今日明日とご主人は二連休を頂いている




朝八時になっても開かないクザンの部屋のドアを


ソファーに座りココアを飲みながら眺めている



「………」


(つまらない____)





あの日からご主人は時々とても寂しそうな顔を浮かべて


ため息を吐いている_



私が何か失態をしてしまったのだろうか?


一緒にお酒を飲んだのはやはりまずかったか…



メロは少し温くなったココアをカップの中でくるくると揺らして一口飲む



今日は日差しが暖かい・・・




ふと思い出したように立ち上がり、大きなガラス戸へと足を進める



朝日を浴びて海がきらきらと光って見える


その手前の水のないプール…




「………・・・・・・・」


入りたい_




勝手に水をためてもよいものだろうか…



少し考えてから、メロはガラス戸を開けてプールの水の栓をひねる



ゴウゴウ_と水しぶきを上げ肌よりも熱い温水が勢いよく流れ出る



プール全体へ薄く伸びてゆく水たまりを見ているだけで




わくわくする________





メロの表情はとてもそんな事を思っているようには見えないが

その熱く注がれた視線を見るとそう思わせる____









「おはよう・・・・プールはいるの?」



背後から眠そうな声がして振り返ると

ご主人が寝間着姿のまま大きなあくびをしてこちらを視界に入れた



「ご主人…おはようございます…プールは…」



「いいよ、好きな時に使ってやって、俺入ったことないしさ…ソレ」



やっぱりご主人は許してくれた



ウゥ〜ン_と背伸びをしてデッキの方へ向かうクザンの後を追いかけて


朝の潮風を感じる


肌寒い風が


日の光の強さと一緒になって心地いい



また_


寂しそうな顔…



海を見つめるご主人の横顔がとても寂しそうに見える・・・









笑ってほしいのに_










「ご主人は、プールに入られますか?」



「ん〜?

俺はメロちゃんの

水着姿が見れたらそれでいいや」



あまり興味無さそうに

デッキの周りを囲む策へ腕を置いてもたれ掛かるクザン_



「…では、朝食の準備をしてきます_」



「ん、もう少ししたら行くわ」



海から目を離さずご主人はそう言って

ため息を吐く___





「………失礼します」




なぜ_



こんなにも私の心は



凍りつくような寂しさに襲われているのだろうか____





_________________



朝の海は少し騒がしい…


海軍の船が出航をしたり


商人が来たりと


忙しない海の上を眺めながら


クザンは深呼吸を一つした



あの日から自分はこんなにも苦しい気持ちを持て余しているのに





メロは何も変わらない___


表情一つ変わらない…



昨日も朝食のスープに葉っぱの形のカボチャが隠れていて

メロのオヤツであろう抹茶味のカップケーキを当り≠フ景品だと言って貰ったし_


夜のパジャマの猫ちゃんも可愛かったし_


メロが何かする度に恋しさと苦しさが心に押し寄せて息が苦しくなる



また深いため息が漏れた




いっそ_



この胸の内を話して



別のメイドでも雇おうか___



センゴクさんなら_


喜んでメロとメイドを交換してくれるだろうし…
















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