メイド
□ご主人は変態です。
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コンコン_
軽くドアを叩く音がして、ドアを開けると珍しくクザンがメロの部屋を訪れていた
初デートは少々失敗したが、その後海の上で昼食をとり
一度家に帰宅し、これから海軍の医療棟へと向かうのだ
メロの手のひらは少し赤みがかっていて本人は大丈夫_と言い張るがクザンがそれでは気が済まない
「メロちゃん?もしかして病院嫌いなの?」
「…いいえ、この程度は平気です」
「…薬くらいはもらおうね?じゃないとオヤツの材料費削るからね」
「・・・・まいりましょう。」
という感じで…
___________
医療棟を出て、夕食の買い出しへ二人で向かう
痛々しく巻かれた包帯を見てクザンがまた表情を曇らせる
ほら…またそんな顔するから___
きたくなかったのに______
「ごめんね_」
「誤らないで下さい_ご主人は何も悪くありません…今夜は何が食べたいですか?」
そう言って、クザンの顔から街並みへと視線を映したとき
まるで体の何処かを突き刺されたような恐ろしい恐怖が襲った___
怖い・助けて・今すぐにそう言ってクザンの後ろへ隠れたい気持ちがあるのに
両足は地面に張り付いて、喉からは粘ついた息しか出てこない____
「メロちゃん?」
「っ…あ・・・すみません_」
クザンに名を呼ばれて、一度そちらに目を向けて
また街並みへ視線を戻したときにはいつもと変わらない光景が広がっていた
(今・・・あそこにいた・・・・)
幻覚だったのかもしれない…
妙に生々しく視線を交わらせたそいつは
そこはかとない闇にのまれていくような手ごたえのない笑い顔を浮かべて
見つけた____
と、そう言っていたように思えた…
__________
家に帰ってもメロの様子がどうにもおかしい…
買い物中もキョロキョロとあたりを警戒しているようにも見えたけど…
変わらずおいしい夕食が出されて
変わらず風呂上がりのメロのパジャマはコスプレ風だし…
(無表情すぎてぜんっ全わからねぇわ_)
「ご主人…」
桜色のペンギンのパジャマを着たメロがホットミルクを二人分持ってきてクザンの隣へ腰を下ろす
その横顔に問いかけるべきかと悩んでいると
その空気を察したメロからため息めいた息がもれて
視線が交わる
「ご主人_昔話をしてもいいですか?」
「・・・いいけど…なにかあったの?」
「はい…ありました_聞いていただけますか?」
「……うん」
変わらない表情が、少し怯えているようにも見えた