メイド

□スモーカー様がいらっしゃいました。
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あぁ…体中が痛い_


ソファーで座っているうちにご主人が部屋から出てきた


爽快そうな表情で_



「チッ・・・・・・・」



「メロちゃん今舌打ちした?!」



「…いいえ、ご主人、シャワーですか?」



「そのつもり〜だ・け・ど・・・あらららん?メロちゃん顔赤い?」



上半身素っ裸のまま近づいて来て

メロを挟み込むようにソファーに両手をついて額を合せるクザン


ヒンヤリしていて気持ちがいい…


そんな事を考えていると、チュッ_と額にキスを落とされて



「ダメだこりゃ………」


「ッ……ご主人?」


いきなりグイッと持ち上げられてクザンが


まいったね_


と困り顔を浮かべている

メロといえばまたいつもの無表情で昨夜の照れた顔が嘘のようだ…





「今日は寝てなさい_昼に一回帰ってくっから、メイドお休みね、わかった?」



「大丈夫です、これくらぃっ…っ…」



黙んなさいな_



そう言わんばかりに唇で口を塞がれる

ヒンヤリとした舌が口内に滑り込んで逃がそうにも頭も体も固定されて_




「フッ…んんっ・・っ・・はぁっ…はぁっ・・・・」

(あ…ムカつきますこの人…)



やっと離れて空気を吸うので精一杯なメロをニコニコ_と嬉しそうな表情で見つめて目の横にまたキスをするクザン



(朝からやりたくなるわ…)



「朝からは勘弁してください…」


「あれ?声に出てた?」


「・・・表情に出ていました」



「あらら…じゃ、部屋行って大人しくしなさい、ベッドまで連れてったら、また押し倒しそうだわ…」


そう言って床に下ろされる_


「…では…お言葉に甘えて…おやすみなさいご主人」


「ん、いい子だ_」


ヨシヨシ_と頭を撫でられてメロは大人しく部屋へ戻る_



「・・・・・・・・」


いつもの無表情に戻っていたが、熱のせいで顔は赤いし涙目だし…


可愛かったなぁ・・・


と思いながらシャワーを浴びに行くクザン


今日は二連休後の出勤だ、休むわけにもいかない



シャワーを終えクザンは久々にキッチンへと立ちメロの為におかゆを作り部屋へ持って行く




「・・・・・あらら…寝ちゃってる…」


ベッドの上ではピンクのパンダのパジャマに着替えて眠っているメロ_


クザンはおかゆを机に置き、メロの額へとキスを落とす


メロの表情が…自然と戻りますように…


そう願いを込めて_



「ご主人………とっとと仕事へ行って下さい…」


「あらららら…おきてたの?」


(寝ていても起きますよ、そんなあからさまに胸に手を置かれたら…)




「・・・・行ってらっしゃいませ」


「はいはい…おかゆ作ってっから食べなさい…んじゃ、行ってきます」


メロの頬にキスを落として部屋から出る


まったく…油断も隙もない…_


メロは身体を起こしてソファーの前に置かれたおかゆを食べることにした


「・・・・・・・・」



中々おいしい・・・・




_________________



食べ終えて悪寒の抜けきらない身体を引きずるようにしてキッチンへと空いた皿を持って行く



「・・・・・」



元の位置へ戻されているキッチン用具たち_


おかゆを作ったあとにクザンが片付けて行ったのだろう



部屋に戻ろうと思った時、玄関のチャイムがそれを阻止した


客なんてめったに来ない、来たとしてもセンゴクからの荷物程度しか届いた事が無い・・・・



一体だれが…?



そう思いながら重い体を玄関へと向ける



「どなた様でしょうか?」


顔色の悪い表情で見上げた先にはコレでもかと煙を纏った男だった


強面な表情の男がギロリ_とメロを見下ろす


「あ?・・・大将はいるか?」


眉間にしわを寄せて今にも額の血管が破裂してしまうのではと思うほどの怒り顔…


「今はお仕事へ出かけられています、お昼には戻りますが」



「・・・本部に姿がねぇからこっちだと思ったんだが・・・・・チッ・・・・じゃぁ上がらせてもらうぞ」


「あ…え?はい・・・・」


なんて図々しい人なのだろうか…

メロはズカズカと家に上がる男を静止することもなく招き入れる


なぜならば、悪人顔の男は背中に正義を背負っていたからだ_

海軍兵ならば追い返すことはない、メロはリビングへ招き、早々とメイド服へと着替える



「失礼します、メイドをしておりますメロともうします」


「スモーカーだ」


スモーカーはそれだけ言って入れられたアイスコーヒーに口をつける


煙草に火をつけようとすれば差し出される火のついたライター、スッと机に出される灰皿



先ほどはメイドの癖にまだ寝てやがったのか、さすがアイツのメイドだ_

と思ったが、ここまでのもてなしは文句のないものへと変わっていた



「いつ帰ってくるって言ってたんだ?」


「お昼に一度顔をだすとおっしゃっていました」



大体の女は俺を見れば怖がったり、少し距離を置くが、このメイドは声色どころか表情もピクリとも変えない



「そうか・・・・っ!?」


なら後一時間程度だな_と言葉を続ける前にメイドの体が膝から崩れていく


咄嗟に伸ばした手に力なく収まったその身体は熱で熱くなっていて額には汗までかいている



彼女が先ほどまでパジャマだった理由が解明しその身体をいたわる様に抱き上げる



「あー…めんどくせぇ・・・・」



ソファーに横へさせたのはいいが、首へとガッシリと回された腕が離れない


離そうとすれば苦し気な声を出してその手を強めて抱きしめてくる


彼女の熱い苦し気な息と、火照った体がドクドクと振動をスモーカーへと伝える


女の甘い香りにスモーカーの顔面も赤らむ




「ご主じ・・・・ん・・・・」



「・・・・・・・・;」


ソファーの前へ両膝をついて、メロを見下ろすようにしてもう一度その両腕に手を掛けた時


薄っすらと涙目の瞳が開いて彼女の表情がやんわりと笑顔を作る



「っ・・・・!?」


その表情に見とれていると、突然、唇に熱く柔らかな感触がして

彼女が唇を合せていることに気が付いた


引き離すこともせず、その唇に答えるようにしてスモーカーもメロの頭へとゴツゴツとした手を回して引き寄せる



「んっ…苦い・・・・・」



掠れた声で言われて軽いめまいがして頭の中に薄い霧がかかって



プツリ_


と何かの切れる音と共にメロの身体を両手で包み込んでキスを__________



「何やってんの?あ?ねぇ…何を…やってるのかな?」


部屋中が冷気に包まれた

ゾクリと背中に緊張が走ってメロから体を離す


先ほどまで、はなそうにも離れなかったメロの手はスルリと簡単に離れてソファーへと落ちる



「………」



持ち上げた視線の先にはクザンがあふれ出る殺気を纏いスモーカーを睨みつけていた











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