メイド
□メイドと王子様
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その島は夜だというのに賑わっていた...
「やっぱ陸はいいね」
ふぅー_と一息つきながらクザンは深呼吸すると島へ上陸した
その後にメロも船から伸ばした橋を渡り港へと踏み込んだ
随分と賑やかな島だ...
海軍の上陸に観光客やら島の人々は歓迎して笑みをほころばせている
港にはこれから漁に行くのであろう漁師達が電灯やらロープやらを船に乗せている、街に入ると沢山の店が道の両端に並んでいる
果物から魚、それにお肉屋さん、どれもこれも新鮮なのが店々のライトに照らされてわかる
これだけ物資の整う島だ、海賊が幾度となく上陸をしては騒ぎでも起こしているのだろう
それに、夜にもかかわらず活気の溢れた街中はまるで祭りにでも来たかのようなワクワクした感情を湧きあがらせる
クザンはメロを抱き上げてとっとと服屋に連れて行きたいのだが、メロが楽しそうに店をキョロキョロと物色しているのを見て、逸る気持ちを堪え歩幅を彼女に合わせた
「ご主人...あれはクレープ屋さんでしょうか」
相変わらずの無表情で、ブカブカの服を着た彼女が俺の正義と書かれた軍服を引っ張り上目遣いで見上げてきた
普段なら、すぐにでも買ってあげるのだが...
「...メロちゃん...今はクレープよりもなによりも先に、君の衣服を買いに行かなきゃいけないんだよ?」
「...向こうにはアイスクリームのお店もあります」
「...あのねぇ...」
俺はいち早く下着を着て欲しいんだけど?
こんなセリフ、こんな大勢の前で言えるはずがない
「...では、早く買いにいきましょう」
困り顔を浮かべた俺を見て、彼女は諦めてくれたようだ
「ごめんね、我慢ばっかさせちゃって」
「...ご主人は我慢を覚えてください」
「あららら...休暇中だからって冷たくない?」
「そうでしょうか...」
気のせいかな..._
彼女の言葉にそう返し、服屋へと向かう
他の海兵達には明日まで適当にしておくようにと言付けもしてあるし
少し速足になったメロの小さな背中を見つめながらクザンはフと気が付いた
人々の視線はもちろん、海軍大将である自分に向けられているのだが、その後にメロへと向けられる視線達...
その殆どが男のモノ...
やはり彼女は人眼を引くほどに可愛いのだろう...
「......」
それ以上この子を見たら...両目潰すぞ?
なんて、悪党でもあるまいし...
そうこうしてる間に島の生活用品の並ぶ所までやってきた
服屋はスグに見つかり、メロはクザンの服を掴み迷わず入店した
のはいいが...
「ん〜...足出すぎじゃない?他の男に触られたらどうすんの?」
取り敢えず試着してから買おうね_
下着をゲットした後は服選びだ、メイド服以外の服といえばパジャマの仮装ぐらいしか見たことがない...
店内にはもちろん、メイド服など並んでいるはずもなく先ほどから試着を繰り返しているのだが、クザンの気にいるものが中々見つからない
これでもう何着目だろうか...
先ほどは胸元が空きすぎていると言われタートルネックと短パンに着替えると今度は足が出すぎと...
ワンピースに着替えると風でスカートが翻ったらどうするの?と...ジーンズにすると身体の線が丸わかりだとか...
疲れます...
「...ご主人、次で決まりにします」
「俺が気にいらないっていっても?」
メロの言葉に顔を顰めるクザン、だってもう試着する服がないんです_
クザンの言葉に頷いてサッ_とカーテンを引くメロ
これ以上ご主人のワガママに付き合っていたら日が暮れてしまってクレープもアイスクリームも売り切れてしまうかもしれない...
それだけは避けたい...____
下着姿になり、次の洋服に手を伸ばした時だった
「うーん...それは露出が多くない?」
ご主人、ここは...試着室です____
「.........ご主人...他の男性に色目を使われ、もしかするとイタズラをされるかもしれない...と、ご心配してくださるのはとてもありがたく幸せなことですが...ご心配には及びません」
「...?」
「クザンから離れる気はありませんから...守って下さいますよね?」
ボッ!_と赤くなる顔、下着姿で、上目遣いで、名前を呼ばれて...小首かしげて...
可愛すぎるから///
「なのでとっとと出て行って下さい」