メイド
□メイドとハクバ
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「なんて美しいんだ...」
そう囁いて、バラの花弁で頬を撫でられる...
どうにかしてこの海賊船から逃げようとしたが、あっさり捕まりロープで縛られてしまった
両腕は背中の方へ固定され、肩下から両肘辺りまで頑丈に巻かれたロープのせいで身動きのとれないままキャベンディッシュの横に座らされ、肩に手を回され、先ほどからズットほめ言葉を浴びせられている
「...」
「おやぁ?ご機嫌斜めかい?」
というか、さっきからずっとご機嫌は斜めなのだが...
表情には表れないものの、先ほどから少しでも動くとロープが腕に食い込んでい痛い...
それに、眠い...
不謹慎なことなのはわかっているが、何せもう深夜だ...
波の音は静かだし、この海賊船の船員たちも大半は眠りについているようだし...
「眠らないのですか?」
「ん?眠いのかい?」
なんて幸せそうに微笑むのだろうか...
はい_そう言って頷くと、キャベンディッシュが軽々と私を抱きかかえ、船内にある彼の寝室へと運ばれた...
ご主人...早く迎えに来て...
これじゃぁ本当にお姫様ではないか___
悪い人にさらわれて、王子の迎えを待つ健気なお姫様...
彼の寝室は思った通り、バラがモチーフにされた家具が並べられている
眠気も吹き飛ぶほどの赤やらゴールド...
「ふぁ〜ぁ...君の眠気が移ったみたいだ...」
ロープは相変わらず痛いが、彼の手つきは優しく、壊れ物を扱うようにベッドへとおろされて、私はベッドに座った状態で彼を見上げた
キャベンディッシュは愛おし気な瞳で私を見て、頬をなでる...
そして
ボスッ_と彼は突然と意識を手放し、ベッドへと倒れこんだ
「......?」
まさか...死んだ...?
そう思い、私の真横でうつ伏せに倒れた彼の後頭部をじっと見下ろしてみたが、心配無用だったようだ
グーグーと寝息を立て始めたのだ