メイド
□メイドとハクバ
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「ぁ...れ...?」
「お目覚めですか...キャベンディッシュ様」
目を覚まして、朝日に照らされた姫を視界に一番に入れられるなんて...
僕はなんて幸せなのだろうか...
僕の船室の窓辺で、彼女は香りの良い紅茶をカップへと注いでいる
なんて絵になる光景_____
「んっ?」
ベッドから起き上がり彼女の元へ_と思ったが、なぜか体が言う事を聞かない
僕は一体どうしてしまったのだ_と顔を自身の身体へ向けて、理解した
「そのロープ、見かけによらず...痛いと思いませんか?」
口元に微笑を浮かべるわけでもなく、彼女は顔のパーツを変わらぬ場所に置いたままの無表情で紅茶を一口含んでそう言った
ギヂッ_とロープが擦れ合い音を立て肌にめり込む
僕はなんてことをしてしまったんだ...
紅茶を飲む彼女の両腕にはクッキリとロープの跡が残っていて、手首には切り傷が幾数にもついている
「すまない...許してくれ_______」
君を傷つけるつもりなんかなかったんだ_
キャベンディッシュは眉を下げ心底後悔したようにベッドへ伏せた
「許します...なので、島へ帰らせて頂けませんか?」
「......」
嫌だ_____でも...断るときっと彼女は僕をもっと嫌いになるだろうし、許してくれないだろう...
「ご安心ください、これ以上嫌いにはなりませんので」
心底嫌いですから____
「本当かい?!なら...約束しよう!君を島へ帰そう」
「...」
まだ少ししか嫌われていない等と思っているのだろうか...
彼はロープに巻かれたまま、安心したように微笑んだ____