メイド
□容赦なく訪れた朝
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夜の淀んだ空気を騒がし始める...
そんな朝は、容赦なく訪れた...
そう
彼女の居ない朝_________
分かっていた、夜中に彼女が俺の頬にキスを落として
掠れた小さな声で「ごめんなさい」と囁いて部屋を出て行ったことも...
それからずっと俺はベッドから起き上がることが出来なかった
今でも迷っているのだ、彼女を引き留めるべきだったのでは_と...
その迷いは何度も現れては結局「彼女が決めたことだ」とまた振出しに戻ってしまう
カーテンの隙間から零れた朝日を瞳に映して枕に顔を埋める...
そして思う____
朝になったらいつものように彼女が起こしに来るんじゃないかなんて...
「...」
そんなわけない...
重い身体を起こして、クザンは彼女が居たはずの場所へ視線を落とす...
大丈夫だ...
大丈夫___________
例え昨夜の言葉が嘘だとしても俺は構わない____
拳を握りしめ、クザンはたった一人身支度を始めた
背中に正義の文字を背負い、しっかりとした足取りで本部へと向かった...