メイド

□メイドと牢獄
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何故、私は今、憎くて、大嫌いな人の影を探しているのだろうか


こんなにも必死になって___





あの日、彼を刺したあの日、私は...




心をなくした筈なのに____







それでも、シルヴァ様の為にも...



彼を罪人にするわけにはいかない。






「シナリオはこうだ...ドラクルに命じられ、シルヴァの杯に毒を盛ったメイド...クハハ、ありきたり?

お前たちにはその程度の最後で充分だろ?」




えぐられる様な皮肉めいたセリフを吐くクロコダイル、その腕に抱えられたまま振り返ると
そこにドラクルはいた_____




国王を象徴していた家紋の施された洋服は泥で汚れ、戦いの敗北を思わせる体中に出来た痣や傷

一目では彼が国王だと気が付かぬほどに汚れた男が牢屋の中で壁に背を持たせ脱力したように座り込んでいた



戦場であれほどにも恐れられた存在の彼をここまで痛めつけたのは、やはり悪魔の実の力だろうか...




「っ!?」




刹那、クロコダイルに抱えられていた身体が空中に投げ出され、視界に暗い天井が映る


地面との接触で身体を強打するだろうと咄嗟に目を瞑り身体を丸めたが、その次の瞬間



襲った痛みは、ほんの少しだけだった


瞳を開けると、今にも泣きだしそうな男の顔が私を見下ろしていた







「メロ...何故___」











意識などないと思っていたドラクルが落下寸前のメロを抱きとめ、掠れた声で呟いて、その瞳からポタリと涙を私の頬へと落とした




「...私は...メイドですから...____」




決してアナタを許したわけではない...

言葉にせずとも伝わったのか、ドラクルは苦し気に笑みを浮かべて私を地面へと降ろした


いつの間にか牢屋の扉は閉められていて、格子を挟む向こうにはクロコダイルが此方を見下ろしていた


その頬には皮肉な笑みが張り付けられている



「ふん、可愛げも愛嬌もねぇメイドだな_」






「今の私には...そのどちらとも不必要なモノなので...」




怯えると...

そう思っていた、怯えて助けを乞うと...


だが、目の前の彼女は変わらぬ澄ました表情でこちらを見上げ、反抗的なセリフを吐く

















可愛げのないメイドだ...









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