不死鳥
□無くした筈の者…
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蘭は家族となった男達に囲まれながら親父の膝元に腰を下ろしている状態だ
彼女の隣りにはサッチが座り、反対側にはイゾウが…
少し離れた所には赤髪海賊団の面々が座っている
モビーに横付けするようにレッドフォースを見かけてから諦めていたつもりだったが…これは……
今更だが何という所に腰を落ち着けてしまったのだろうか…
…ハァー……
小さく溜息をこぼした蘭を視界の端に捉えたイゾウはそちらに気づかわしげな視線をおくる
「…窮屈だろぉが 我慢しておくれよ
せっかくのお前の歓迎の宴だってぇのに
……赤髪が来ちまったもんだからねぇ〜」
気のせいだろうか…今心做しか棘があったような…
「ごめんな、蘭ちゃん」
申し訳なさそうに謝罪するサッチのリーゼントも幾分萎れてみえた
「…あっ!…いいえ
アタシこそすいません
お守りを…させてしまって…せっかくの宴なのに」
「……な〜に、気にしなさんな
話題の妹独り占め出来てるんだから役得さね」
愉しげな口調にどこか色気が滲む
さり気なく腰を引き寄せられのぞき込まれれば自然、顔に血がのぼる気がした
「そぉそぉ、蘭ちゃんが気にする事なんかこれっぽっちも無いんだしさ
それとも…」
そんな自分の内心の反応に慌てていると、今度は反対側から肩を抱かれているではないか
その顔には茶目っ気たっぷりのしたり顔が浮かんでいる
「マルコもいない事だしオレとも交流深めちゃう?」
グワシャ!!
「誰がなんだって?」
そこには音もなく現れたマルコの姿が_
「ゥギャーーー!!オレのリーゼント!!!」
「全く油断も隙もあったもんじゃねぇよい」
「!…マルコ…さん……」
蘭がやっと自分の所に来てくれたマルコに話しかけようとしたところでまた邪魔が入った_
「よぉ!マルコ!!
今日は出迎えに来ねぇからいねぇのかと思ってたがいたんだな♪」
「赤髪ーてめぇ毎回毎回覇気垂れ流しにしてんじゃねぇよい!!」
「ワッハッハ!!
いつもの事じゃねぇか(笑)
そんな事より今日こそ俺の船に乗る気になったか♪」
「―――――イラッ―
誰がお前ぇみたいな奴の船になんか乗るかい!!寝言は寝てから言いやがれ!!」
本当にやっとだったのだ
親父に抱き上げてもらってやっとの事でこのどうしようもない気持ちが収まっていたのに…
やっと触れられる筈だったのに…
「………このオッサン嫌いだ……」
彼女のボソリと呟かれた言葉を拾えたのはすぐ横にいたイゾウだけだったとか
そうじゃなかったとか…
「………ククッ……………」
兎に角彼女にとって赤髪が好ましく思えなくなったのは宴の片隅でこんなやり取りがあったからだったり、無かったり(笑)
。