不死鳥
□予期せぬ訪問者
1ページ/6ページ
その日は何だかいつもと違っていた…
いつもはいつもで騒がしいこの船も今日の騒がしさは何処か違う
ザワザワ…ソワソワ…
言葉では言い表しずらいそのざわめきは彼女に困惑を与えた
それでも不穏な何かを感じる事は無く、疑問に思いながらもいつものように1日を送っていたのだ
事態が起きたのは陽が傾きかけた時だった
世界を赤く照らす夕暮れ
海は荒れる事無く静けさを保っていた
「ドーマだ!」
ソレは突然だった
水平線に船影を確認した見張りが嬉々として叫んだ
ソレは予期せぬ兄弟の帰還の報せだった
「…ドーマ……遊騎士ドーマ…か」
自分の中で思い当たったその人物の名前…確かエースに降伏した
小さく呟かれたその声を拾うものはいなかった
彼女は近付いて来る船影をもう一度だけ見やると踵を返し、船内へと入って行った
。