メイド
□ご主人のスキキライ
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海軍から支給されたメイド服をもらい、海軍居住区のクザンの家へと向かう
振り返ると海軍≠ニ大きく書かれた海軍本部が威圧を放っているようにも見えた
長い石畳を下り、しばらくすると海兵居住区の外れにある海沿いの家の前で足を止める
一階建てのそれでも大きな一軒家の大きな門の前で備え付けられているインターホンを鳴らす
庭には剪定された木々が並んで、花こそは咲いていないが青々とした芝生が敷き詰められている
ガチャッ_と門の奥の家のドアが開いて、クザンが顔を出す
「本日より、お世話をさせていただきます」
頭を下げるメロ
クザンは頭をかいて、けだるげな声で、あぁ〜はいはい_と門を開けメロを家へ招き入れる
天井の高いリビングには暖炉の火が灯り、冷えた体が徐々に温まる
他に部屋が三つ、大きな正面のガラス戸の向こうには室内プールがあるようだが、水は入っていない
ガラス張りのプールの奥には、広々とした白いデッキと海が一面に見渡せる
それはまるで高級リゾートを思わせる室内だ
「メロちゃんの部屋はここね、で、俺の部屋は向こう…あと一つは客人用だから、まぁ、適当にして」
なんとも適当に説明を終わらせてソファーに座って新聞に目を通すクザン
メロは失礼します_と一礼して与えられた部屋へ入る
「・・・・・・・・」
これは、誰が用意してくれたのだろうか
桜色のピンクのソファーにベッドカバー
ベッドの天井からはお姫様の寝室を思わせるレースのカーテンが垂れ下がり
極めつけは抱え込めるほどの大きさのテディーベアー…
どれも同色で纏められている・・・
「ピンク……」
まぁ、いいか。
と支給されたメイド服に着替える
基本は半袖でひざ丈のメイド服だが、他にも着物やミニスカートの物もあるようだった
それぞれ主人の好みに合わせているのだろう、もちろん、過激なものは禁止となっている
メロに支給されたのは、長袖で黒のロングメイド服
さほど気にも留めず着替え終えるとリビングへと出る
「…似合うね…それ」
チラリと新聞から視線を上げて、適当なお世辞を言い、また新聞へとおろされる視線
「ありがとうございます」
軽く頭を下げて、キッチンへ向かうと慣れた手つきでコーヒーの豆をひいて、一人分のコーヒーを入れる
キッチンから香ばしい珈琲の香りがし、メロがクザンの手前にあるテーブルへと珈琲を置く
「サンキュー・・・・」
「いえ、お気になさらず…」
そう言ってまた離れていくメロ
まるでもう何年も前から一緒にいるような感覚がする…
クザンは少し笑みを浮かべて、ほろ苦い珈琲に口をつけた