メイド

□メイドの気持ち
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メロはメイド服のままで

プールから少し離れた場所からプールを眺めていた


プールサイドに置かれた椅子には桜色の水着がたたまれて置かれている



クザンに気が付き二人の視線が交わる



プールサイドで…


手を伸ばせば届く距離にメロがいる…



「ご主人…浮き輪はありますか?」



表情というものを欠落させ小首をまげて問いかけるメロ


その変わらない無表情に、腹立たしさと言い知れぬ寂しさが込み上げる___



「……メロちゃん…あのさ…」



「何でしょうか?」











「センゴクさんのメイドになる気はない?」












出来るだけ自然に_


少し頬に力を入れて、眉間にしわを作らないように意識させる…






「…………」




景色すべてがぐらりと震え




輪郭が崩れる_




急に身が落ち込んでいくような眩暈_





メロはその両足が崩れていかないように支えるのがせいいっぱいだった_







ッ…ハァッ_


と苦しい息がもれて




どん底から込み上げてくる悲痛な思いが沸き上がる










無意識に左胸に重ねた手で爪を立てる






「ッ………」



かしこまりました_






そう言わなければならないのに






喉が腫れ上がるような感覚で



うまく呼吸ができない



言葉も紡げなくなって_



無理矢理開こうとすると今度は胸腔の辺りに圧迫感を覚える



喉は張り付いたように動いてくれない…




「メロちゃん?」



少し目線を落として


胸に手をやって何か言おうとしているメロにクザンは柔らかく声をかけた





かしこまりました_





彼女からすんなりと出て来る筈のその言葉が聞こえてこない_




「っ・・・・・・・・」



名を呼ばれてクザンの目を見る




その顔を見ると堪えていたものが

ポロリ_

と落ちた___




最初の涙がこぼれると、歯止めがきかなくなったかのように次々とこぼれてゆく

自分の両手でその顔を覆う…







声を出さずに肩を細かく震わせて静かに泣いている・・・・・・・



自分が泣いていることを誰にも気取られたくないというように________





「・・・・・・・・」



目の前で突然泣き出したメロ…


そうさせたのは自分で_


嬉しさと後悔が込み上げる




「ぁ〜っと・・・・


ごめんね…


泣かせるつもりじゃ


なかったんだけどね_」




そっと小さな体を抱き寄せる




顔を覆ったまま震えるメロは



何も言わず涙を堪えるように



息を止めては出して、動悸づいている



その背中を撫でながらクザンは遠くへ目をやる



「好きな子に泣かれたら

こまるでしょうが…

メロちゃん…

ごめんね・・・・

好きになっちゃったんだよね…」



こんなシチュエーションで告白するのはズルい事だろう


分かっていても、さっきの言葉を撤回させる理由が思い当たらない



「っ…」


メロに胸を押されて解放させると


目や鼻の頭を赤くして、下唇を噛んで何か言いたげな表情を向ける


「…私は

どこにもいきません

ご主人…

もう悲しい顔はしないで下さい_ 」




(それじゃぁ

答えになってないでしょうが_)



心の中でそう言って、可愛く震える身体をまた引き寄せて


唇を奪う・・・・・



触れるだけのキスに、びくりと細い肩を跳ねさせる



唇を離すとメロの上目遣いに見とれて、その後に嬉しさで顔が緩んで微笑む_


彼女もまた_





二度目の笑顔を浮かべた_




雲間から太陽が顔を出したように

温かく屈託のない微笑み_





















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