グリフォン

□熱とエースとマルコさん
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海を見渡すが広がるのは海ばかり


メルは何度も船から離れては周囲を飛び回ったりとソワソワしていた



羽を羽ばたかせ、甲板のヘリへ着地したり、見張り台へ飛び移ってみたり




今日はエースが帰ってくるんだ



そう考えると昨晩から眠れないし、何度も甲板に出て、見張りのクルーに、まだか、まだか、と聞いては部屋に戻り


まだ太陽もほんの少ししか顔を出さない早朝に、寝間着のまま待ちぼうけをしている



「寒くないのか?」



「全然寒くないぞ!暑いくらいだ!」



見張りのクルーは心配して声をかけるが笑顔で答えるメル


しかし、空を飛んでも、甲板を歩いても、いつものメルとは様子が違う

たまにフラッとよろけている


しかも、こんなに白い息が出るほど外気は冷え切っているのに”あつい”だなんて



とまた目をメルへ向けると、先ほどまで半獣だった姿は人間に戻っていて、甲板の床で倒れている



「言わんこっちゃない;」




________




朝から甲板の方が騒がしい

マルコは書類整理に追われ一夜を明かしていた


書類から目を離し、コーヒーを飲もうとしたが冷え切っていて、目が覚めたのはいい、だがやはり暖かいものが飲みたい・・・

少し考えて、入れに行くついでに甲板を覗きに行く事にした



「あ!マルコ隊長!メルちゃんが____」


甲板へ続くドアを開けて飛び込んできた光景に、兄弟の声も姿も通り過ぎ駆け寄り身を屈め

倒れた‟ソレ≠すくい上げる様にして抱え込むと‟ソレ≠ヘヒューヒューと喉を鳴らし微弱な呼吸を繰り返している


「っ……;!?」


ぐったりと力の入る気配がない


「ツッ……メルっ!!!」




思考が追い付かない、怪我は?血は?打たれたのか?何があった!?


最悪な結末が頭の中を巡る


やっと声をだし名前を言って、ソレがメルだと確信しマルコは抱きかかえ急いで医務室へと駆け込んだ




勢いよく開けたドアの先にナースが居て、すぐにメルをベッドに寝かせる


ナースは手際よくメルの状態を確認してゆく



「一度脱がせた方がいいわね…マルコ隊長、下がって頂けますか?」


サーッ_と引かれたカーテン、点滴を持って別のナースがカーテンへと消えてゆく



「ダメね…」



中から聞こえたナースの声に身体が勝手に動いた



ザッ!!!!!!!!!!!



カーテンを開くと


「ま・・・マルコ隊長!?なっ、どっどうしたんです;!?」



「何が、ダメなんだ・・・・…」



マルコの怒るような、苦しむような表情にナースも体を後ずさる


「……?」


「ぇっと、点滴が刺さりにくいんですよ…;あの…すごい熱で…ケガなどはありませんから」



「っ・・・・・熱・・・;?」



「ほら、エース隊長の帰りを待って、夜風に当たりすぎたんですよ、それに、寝不足もたたったんでしょうね…汗びっしょりで、着替えの為に下がってもらったんです…ほんと、メルちゃんって罪な子、フフッw」




「なっ!?誰がこんなガキなんかっ!」




クソガキ・・・ただの熱で…ぶっ倒れてんじゃねぇよぃ……(怒)



「クスクス・・・ハイハイ、じゃ、医務室は船長さんの薬なども取り扱ってるので、メルちゃん、連れて行って下さいね?感染するものだと困るんで、点滴は、マルコ隊長の部屋で刺します、ほら、抱っこして上げてください?」



「ハッ・・・?なんで俺が「連れてきたのはマルコ隊長ですよねぇ?」



「チッ・・・わかったよぃ・・・・」



ナースの視線がとっとと連れていけと煩い;
マルコは渋々とメルを片腕で抱える



異常なほどの体の熱さ、だが、冷え切ったマルコの体はそれを心地いいと感じた










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