君は何を想う? 完結

□君は何を想う? 第八章〜九章
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自嘲気味に出る笑いを、思わず右の拳を当てて押さえ込む。



そんなの、俺が、ホントは分かってるんだけど……




ゆっくりと開くエレベーターのドアをじっと見ていたら、そこには女性社員が一人。

バインダーを抱えて、階数ボタンのある左端に乗っていた。



うわ、こいつ柿沼の取り巻きだ。宮野っていったかな。

しかも、すげーうるせぇ奴。



一瞬乗るのをやめようかと思ったけれど、流石にあからさま過ぎたのでやめた。

俯いている彼女を見下ろしながら、足を踏み出す。


宮野は俯けていた顔をなんでもない仕草で、ふぃっと上げた。



「……っ」


俺と目が合った途端、目が丸く見開かれ口がかすかに開く。


「……?」


いつもと違う表情に、こっちが呆気に取られてエレベーターに乗り込む前に足が止まった。


「――何?」



あまりにも見つめるから、声をかけてみた。
途端、弾かれたように俺から視線をはずし、エレベーターから降りようと歩き出す。




――おかしい……




その行動に、とっさに腕を伸ばして前方を塞ぐ。

「……っ」

びくっと、肩を震わせたのを、俺は見逃さなかった。







高校の、感覚が、蘇る。
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