君は何を想う? 完結
□君は何を想う? 第八章〜九章
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――私じゃない! 瑞貴はわかってくれるよね?
わかんねぇよ
――久我が悪いんだから!
お前が悪いんだよ
――あの人のどこがいいのよ!
全部
――いなくなっちゃえばいいのに!!
――お前が、消えろ……
甦る、記憶に、わずかに目を瞑る。
なぁ、もしかして。
もしかして……
また、俺は、美咲を守れなかった――?
薄く開けた目を、じっと宮野に向ける。
目が合った途端、口元が震えているのが眼にはいった。
「……」
そのまま俺が前に足を進めると、宮野は押されるように奥へと後ずさる。
身体がエレベータに全て入った後、閉、のボタンを押した。
誰かが乗ってくる気配はない。
後ろで、ゆっくりとドアが閉まった。
階数ボタンは六階が点灯していて。
それを確認してから、宮野に視線を移す。
真っ青になった顔で、じっと床を見つめている。
胸の位置で抱いたバインダーが、力の入れすぎで少し歪んでいて。
まさか
と
呟く。
もしかして
と
可能性が頭をもたげる。
――美咲の、頬の、ガーゼ。
おかしな、外回り……
エレベーターは、ゆっくりと六階を目指す。
その箱の中で、泣き出しそうに歪んだ顔の宮野を目の前に、
引いていく血と逆上しそうな感情が、俺の身体の中を渦巻いていく。
まさか……
もしかして……
「……どうかした? 宮野さん」
優しい声と、正反対の感情。
俺の声に、反応しながらも床を見続ける宮野。
頼む、思い違いであってくれ――