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□別れの理由
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未咲、マオ、マダム達は、ゲート内をマダムの車で移動していた。
その車内で未咲は、一人悶々と考え込んでいた。
視線の先には、マダムとマオを交互に見つめていた。

(昔、酔っぱらった大塚が人間と動物だって愛し合えるとか、訳の分からんことを力説していたが、まさか本当にあるとは・・・)

「・・・えと、二人?が恋人だったというのは本当ですか?」

霧原未咲は、疑うような眼差しでマダムに問いかけた。

「ええ、本当よ」
「モモンガが、こ、恋人ですか・・・」

未咲は、肩にいるモモンガに視線を移しながら、引きつったような声を出した。

「誤解があるようだから説明するが、恋人同士だったときの俺は、ちゃんと人間だったんだよ!」

マオがことの成り行きを超特急で説明する。



「じゃあ、以前はネコだったのか・・・。もしや、それが原因で別れたのですか?」
「いいえ、そうなる以前に私達は別れてしまったの」
「では、契約者になったことで別れてしまったのですか?」

未咲は、変なスイッチが入ったのか、完全に取り調べ状態になった。
マダムも特に隠す様子もなく、昨日のことを思い出すように語り始めた。

「・・・リカルドが契約者になるよりも前、そう、それはゲートが出現するよりも前のある日・・・」
「おい!そんなこと、ここで話すようなことじゃ・・・むぐ!?」

未咲は、マオの口を塞ぎ、話の続きを促した。

「それで!?」
「別れを切り出してきたのは、リカルドからだった・・・」

マダムは、遠くを見つめるように語り出した。

***

〜13年前〜

マダムは、恋人のリカルドに呼び出され、指定された喫茶店に来ていた。

「突然呼び出して、どうしたの?リカルド?」
「・・・単刀直入に言う。もう、別れよう」

マダムは、突然の別れ話に一瞬驚いた様子を見せるも、すぐに落ち着いた声音で問いかけた。

「ずいぶん突然ね・・・。私、何か気に障ることしたかしら?」
「いや、君は悪くない・・・。これは、俺の身勝手だ。俺が君を愛せなくなってしまったんだ・・・」
「・・・他に女でもできたの?」
「そうじゃない・・・」
「じゃあ、なんで?」

マダムは、リカルドの焦れったい態度に自然と強い声音で問い質した。
その質問にリカルドは、一瞬言い淀むも、意を決して口を開いた。

「君以上に素晴らしい足首に出会ってしまったんだ!」

***

「そして、リカルドは日本で出会った素晴らしい足首について語り出したわ・・・。正直、くだらない理由だったら、殴ってやろうと思ったけど、くだらな過ぎて笑っちゃったわ」
「・・・・・」

マダムが語り終えると、未咲もくだらな過ぎて絶句した。

「足首フェチだね」
「理解できないね」

双子のドールのもっともらしい意見が飛び交い、マオは、俺にとっては大事なことだ!と主張するも、それに賛同する者はいなかった。
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