記念U

□実演読書
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ゆったりとした午後。
ヴィンセントはソファに座って小説を読んでいた。
そこに、彼の読書を妨害する者が現れた。
それは―――

「ヴィンセントー!暇ーっ!!」

忍者娘のユフィだ。
彼女は両手を挙げて暇宣言をするが、ヴィンセントは一ページ捲って「・・・そうか」とだけしか返さない。

「・・・」

必然的に流れる沈黙。
しかし、こんな事でめげるユフィではない。

「ねー、暇」

ユフィはヴィンセントの隣に座ってヴィンセントの顔を覗き込む。
しかし、ヴィンセントは意に介さず、また一ページ捲る。

「聞いてんの〜?」
「・・・聞いてる」
「なら相手してよ」
「・・・どしてほしい?」
「構ってくれるなら何でも」

言ったが最後。
ヴィンセントは本から顔を離したかと思うと、徐にユフィに口付けた。

「っ!!」

突然の事で固まるユフィ。
その為、容易くユフィの口内に侵入する事が出来た。
素早く舌を絡めとると、引き寄せて甘く噛む。

「っ!!」

ユフィの肩がビクッと跳ね上がる。
そんな仕草に小さく笑みを零しながら、ヴィンセントは再び小説を読み始めた。

「・・・」

ユフィは黙ってヴィンセントを見詰める。
顔は真っ赤だ。

「・・・構ってやったからな」
「・・・バカ・・・」

ユフィはまた黙った。
しかし、一向に動こうとはしない。
余韻に浸っているのか、それとも無言の主張か。
恐らくは後者だろう。
ヴィンセントは僅かに考えると、顔から本を離してユフィに尋ねた。

「・・・まだ構ってほしいか?」
「できれば・・・」
「・・・なら、ここに来い」

ヴィンセントは自分の膝を軽く叩く。
その動作だけでユフィは『膝の上に座れ』と言う事を理解した。
ユフィはパッと笑顔になると、嬉々とした表情でヴィンセントの膝の上に重なるようにして座った。
ヴィンセントは乗ってきたユフィをしっかりと左腕で抱きすくめる。
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