記念U

□密室
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アイシクル


「おーい!!だ〜れ〜か〜!!」

ユフィは扉を叩いて助けを求めていた。
その後ろではヴィンセントが木箱に座っている。

ユフィとヴィンセントはアイシクルの小さな小屋でモンスター退治をしていた。
勿論、依頼があったからだ。
依頼の内容は、小屋の持ち主が小屋を使おうとしたらモンスターが居座っていたので、退治してほしいという簡単な内容だ。
早速、退治をしていたヴィンセントとユフィだが、途中で扉が閉まってしまったのだ。
扉を押し開けようにもいつの間にか雪が積もっており、扉を塞いでいたので開けるが事が出来ない。
おまけに、窓のない小屋だから真っ暗でその上密室。

そして、現在に至る。



「どーする?ファイアで溶かす?」
「・・・下手したら小屋をも燃やしかねんぞ」

「む〜・・・」とユフィは唸ってファイアで雪を溶かす考えを捨てた。
しかし、そうこうしている内に身体はどんどん冷えてくる。
ユフィは自分の身体を抱き、暗闇に慣れた目でヴィンセントを捉えながら歩み寄る。

「でもどーすんのさ〜!?このままじゃ凍え死んじゃうよ〜!」
「・・・落ち着け。ほら、私の膝のおいで。温めてやろう」

ヴィンセントが腕を広げると、ユフィはすぐに飛び込んで来た。
そしてヴィンセントと向き合うようにしてヴィンセントの膝の上に座る。

「もー、何でそんなに呑気なんだよ?もしかして『これも私の罪・・・』
 なんて言うつもりじゃないよねぇ?」
「・・・流石にそれはないな」

そう言いながらヴィンセントはユフィの頭を撫でる。
あまり暗い事を言わなくなった所を見ると、ヴィンセントも変わったものだ。
ユフィはその変化が嬉しくて思わず微笑んむ。

「ヴィンセントも変わったね」
「・・・そうか?」
「そうだよ」

ユフィはぎゅっとヴィンセントに抱きついた。
ヴィンセントもユフィの背中に腕を回して抱き返す。
すると、ユフィの耳元でそっと囁いた。

「・・・ユフィ、寒くないか?」
「え?ああ・・・まぁ」
「・・・温めてやろうか?」
「え?それ・・・は・・・」

ユフィは口篭った。
こんな風に言う時のヴィンセントは決まってアッチの事を考えている。
おまけに意地悪になるから性質が悪い。
ユフィは笑顔を引きつらせながら、やんわり断った。

「い、今はやめておこう?ほら、任務中だしさ・・・」
「・・・任務は終わった」
「でも、いつ持ち主のおじいさんが来るか判んないし・・・」
「・・・当分は来ないだろうな」
「・・・」

そして沈黙が流れる。
本当は、こういう時は離れなければいけないのだが、ヴィンセントがしっかりとユフィを抱きしめている為、それは適わない。
試しにヴィンセントの胸に両手を押し当てて遠ざからろうとするが逆に戻される。
ユフィは苦笑を浮かべた。
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