記念U

□酒
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月がぷっかりと浮かぶ真夜中。
ユフィと共に住んでいるマンションの一室にヴィンセントは帰ってきた。
部屋の中は暗く、シンと静まり返っている。
ユフィはいる筈だが眠っているのだろう。

「・・・いい気分だ」

ヴィンセントは一人微笑を浮かべながら鍵を閉め、靴を脱いで上がった。
ユフィの部屋に向かう途中でマントを脱ぎ、バンダナを取り、上の服を脱ぎ捨てた。











カチャリとユフィの部屋のドアを開けてなるべく静かに入る。
音も立てずに入るという芸当は酔っていては無理のようだ。
それでもユフィは熟睡しているらしく、ヴィンセントの侵入に気づかない。
ヴィンセントはユフィの布団に潜り込んでユフィに覆い被さった。

「ただいま、ユフィ」

ヴィンセントはユフィを愛おしそうに見つめながら髪を撫でてやった。
そしてすぐにユフィの唇に自分のを重ねた。
一度離れるがもう一度重ねる。
今度は味わうように深く重ね、ユフィの唇の柔らかさを楽しむ。
三度目は貪るように食らい付き、執拗に唇を舐めた後に舌を挿入する。

「んっ・・・ふっ・・・?」

ユフィは目を微かに開くが状況は理解出来ていない。
故にユフィの舌は容易く捉える事が出来た。

「や・・・ぁ・・・ヴィン・・・」

だんだん覚醒してきたユフィは抵抗の色を見せるがヴィンセントはやめない。
むしろもっと激しく応えて来た。
両手で押し返そうとするが逆に掴まれてベッドに縫い付けられる。




ユフィの目がトロンとして抵抗があまりなくなった頃にヴィンセントは唇を離した。

「はあっ・・・はぁ・・・んな、に・・・?」
「ただいま」
「ん・・・お帰り・・・って、酒臭っ。シドとどんだけ飲んで来たんだよ」
「さぁな」

ヴィンセントは微笑んで甘えるようなキスの雨を降らした。
いつの間にか右手はユフィの後頭部に回し、左手はユフィの背中に回していてかなり密着してくる。

「あー、また服脱いでる」
「暑い。それにお互いを感じやすいだろう?」

そう言いながらヴィンセントはまたユフィにキスの雨を降らす。

ヴィンセントは酔っ払うとキス魔になる上にすぐ服を脱ぐ。
しかもかなり笑顔になる。
それもこれも全て酒の力なのだが・・・これがまた厄介な方向に働く。

「明日は予定あるのか?」
「あるよ、任務」
「そうか」

そう言ってヴィンセントはユフィの服を脱がしにかかろうとした。

「ちょっ、ストップ!任務があるって言ったじゃん!!」
「だから何だ?」

これだから酔っ払いは面倒だ。
言っている事を理解してくれない。

「ダメだって言ってんの!」
「ユフィは・・・私の事が嫌いになったのか?」

そう言ってヴィンセントはとても悲しそうな表情を浮かべた。
男のくせに色っぽいから悔しい。
それでも状況が更に面倒な方向に行きそうなのでユフィは上半身を起こして誤解を解いた。
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