なんか

□天然VS腹黒
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半兵衛は今日、留守番組だった。

「ふぁ〜あ」

強い武将たちをかぐやの過去に戻る力を使って救った為、頻繁に戦に出る必要があまりなくなったのだ。
来たるべき時に備えて休息、ひいてはいつでも援軍に行けるようにする、という事で今は奪還した城で日向ぼっこをしていた。

「眠いな〜」

昨夜は軍師会議で長時間話し合った為、夜更かしをした。

いっそのこと寝てしまおうか。いや、寝よう。

縁側の床は板だがまぁいい。
帽子を座布団代わりにして寝る。
それでも痛いと思われるがこの際我慢する。
さぁ横になろうと思った時だった。

「半兵衛」

自分の名前を呼ぶ鈴のような声がした。
ゆるりと振り返ると、そこには呉の姫君・孫尚香が穏やかな笑みを浮かべてそこにいた。

「あ、尚香殿〜」
「日向ぼっこしてるの?」
「はい。でも、これからお昼寝する予定です」
「床は痛いでしょ?座布団持ってきてあげましょうか?」
「いいですよ〜、姫様にそんな事させる訳にはいきませんし」
「じゃあ、膝枕してあげる」
「それこそ遠慮しますって。一国のお姫様にそんな事をしてもらうなんて―――」
「私たち、友達でしょ?」

尚香の言葉に半兵衛は首を傾げた。

「今はこんな時だから国とかそういうのは関係ないわ。
 だから私の地位も『一国の姫』じゃなくて『反乱軍の武将』よ」
「ん〜、でも〜」
「大丈夫。誰かが怒っても私がしたくてしたのって言うわ。そしたら誰も文句を言えないでしょ?」

確かにそうではあるがそれでも戸惑われる。
しかし、折角の尚香の厚意を頑なに断るのも失礼に思われる。
半兵衛は意を決し、尚香の厚意に甘える事にした。

「じゃあ―――お願いしますよ?」
「はーい」
「では、失礼しまーす」

少し脱線していた微睡を元に戻し、一礼してから半兵衛は尚香の膝枕に頭を置いた。
武術で鍛えられている太腿は、しかし柔らかだった。
女の子だからだろうか?
しかし、睡眠の大群に押し寄せられて半兵衛の頭は思考をするのをやめた。
それから程なくして半兵衛は規則正しい寝息を立て、夢の旅に出た。

「寝顔、可愛いな」

あどけない顔で眠る半兵衛に尚香は笑みを零した。
頭を撫でると嬉しそうな顔をした、ように見える。
柔らかな陽の光を受け、満足そうに眠る半兵衛を見ていたら尚香も眠たくなった。
その時―――

「姫」

若い男の声が尚香の名を呼んだ。
尚香が振り返る前にその男は隣に座ってきた。
男は―――陸遜だった。

「陸遜」
「こんな所で何をしてるんですか?」
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