なんか

□英雄(笑)
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今日は皆で宴会。
日々の激戦を労うという名目で開かれた。
困難がまだ目の前で立ちはだかっているというのに人間はこうやって羽を伸ばす。
しかし、これが逆に次の戦で大きな力を発揮する手助けになる秘訣でもある。

「お疲れ様、半兵衛」

孫呉の姫君にして虎の娘・孫尚香が半兵衛の杯に酒を注ぐ。
中々気の利いた娘だ。
周りの者はおしとやかにしろと言っているらしいが、このように気が利いていればその必要はないように思える。
おしとやかでなくても気遣いさえ出来ていればそれでいいと私は思う。

「はい、太公望さん。お疲れ様!」
「甲斐姫よ、言われてやるのは気遣いではなくて白々しいだけだ」
「うそっ!?」

気を取り直して二人の会話に少し耳を傾けよう。

「半兵衛は今日は大活躍だったじゃない。とってもカッコ良かったわよ」
「いや〜、それ程でもないですよ〜。尚香殿も大活躍だったじゃないですか」
「それでも半兵衛には適わないわ」
「またまた〜。そんな謙遜しちゃって〜」

仲良く談笑する半兵衛と尚香。
ここまでだったら他の者たちの会話に耳を傾けていた方が楽しいが、それをしない理由が一つ。
それは―――

「ならば姫の労いは私がします」

孫呉の若き軍師・陸遜の存在が二人の間に乱入して来るのが予想の範囲内だったからだ。
少し面白くなりそうだから他に耳を傾ける訳には行かん。

「どうぞ、姫」
「ありがとう、陸遜」

尚香は気づいていないようだが陸遜の行動には、彼にとっては大きな意味がある。
それは尚香を取られまいとするある種の防衛策だ。
身分の差はあれど陸遜は尚香に好意を持っている。
しかし鈍感な尚香は全くそれに気づかず、自由奔放に動き回る。

ちなみに、陸遜の最大のライバルは半兵衛だ。
何でもキャラが被るとか被らないとか。

「ニャー」
「猫の鳴き声?」
「もしかして―――」
「はーい、今回は三毛猫を拾っちゃいました〜」

そう言って半兵衛は帽子の中から三毛猫を取り出した。
また拾ったのか。
まぁ、猫は嫌いではないし、むしろ好きの部類だ。
後で私も可愛がるとしよう。

「可愛い!抱っこさせて?」
「いいですよ」
「今度はどこで拾ってきたの?」
「寿春城に立ち寄った時についてきたんですよ」
「そうなんだ〜」

言いながら尚香は猫を愛でる。
陸遜はそれを微笑ましそうに眺める。
しかし、半兵衛に何か負けたという悔しさのオーラが見えるのは気のせいだろうか?
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