なんか
□男を求めて三千里
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快適な日曜日。
開いてる窓からは涼しく穏やかな風が吹いていた。
「あ〜いい風〜」
半兵衛は横になってこの上ない限り和んでいた。
うん、今日もいい天気。
そんな時、窓から可愛らしい三毛猫が入ってきた。
半兵衛は笑顔で迎える。
「いらっしゃ〜い、ミー坊」
ミー坊とは半兵衛が勝手に名づけた名前。
首輪が付いているから飼い猫なのだろうがよく遊びに来る。
半兵衛にとっては常連さんだ。
「ニャー」
「にゃー」
鳴き真似をしながら半兵衛はミー坊の喉をなでる。
嬉しそうにゴロゴロと喉を鳴らすミー坊。
和む一人と一匹。
そこに―――
ピンポーン♪
インターホンが鳴った。
「はーい?」
とりあえず返事をして起き上がる。
ついでにミー坊を抱えて玄関の扉を開けに行った。
「どちらさまー?」
「やぁ、半兵衛」
「やっほ〜。暇?」
玄関の扉を開けて現れたのは太公望と甲斐だった。
この二人の組み合わせは珍しい。
「お昼寝するから暇じゃないよ」
「よし、暇だね!これから街に出かけるわよ!」
「何しに行くの?」
「男あさりだそうだ」
「違うわよ!ボーイハントに行くだけよ!」
「人はそれを男あさりと言う」
「いいからとっと行くわよ!」
甲斐は半兵衛を無理矢理引っ張った。
それによってミー坊は逃げてしまう。
「わ〜!ミー坊〜!」
「よせ、半兵衛。このまま逃がしてやるんだ。食べられるぞ」
「食べないわよ!!」
そんな訳で半兵衛は甲斐に引きずられてボーイハントの旅に連れて行かれる事となった。
商店街あたり
「太公望先輩、俺を巻き込んだでしょ?」
「よく判ったな」
「だって太公望先輩が一人で甲斐ちゃんについて行くとは思わないもん」
「こんな悲しみ満ちた旅に一人では耐えられんからな」
「なんか言った?」
「「別に」」
二人は揃って首を横に振った。