古書V

□夜のヴィンセント
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WROの任務の関係で一泊する事になったユフィとヴィンセントはクラウドの別荘に泊まる事にした。
宿泊代も浮くし、どちらかと言うとクラウドの別荘の方が上等だったからだ。
勿論、クラウド本人からの了承は得ている。

「いや〜いいね〜、クラウドの別荘は」

ベッドに座って麦茶を飲みながらユフィが言う。

「ベッドはふかふかだし、窓からの眺めもいいし、申し分ないね」
「クラウドに感謝だな」

別荘はメテオ騒動のドタバタの最中に
購入してしまったのだが、案外悪くなかった。
クラウドも家族サービスとして利用する事が多いらしく、この別荘は大活躍である。
ユフィもクラウドと別荘に感謝しつつ、コップに水を入れて流し台の中に置いた。
そしてそのままベッドの直行してゴロンと横になった。

「はぁ〜あ、いい夢見れそう」
「・・・ユフィ」
「ん?」
「その・・・今夜どうだ?」

ヴィンセントの誘いに即答でOKしようとしたが、ユフィはある事を思い出して渋い顔をした。

「久しぶりなのは判るけどさ・・・明日もあるし・・・ね?」

お互い任務続きでご無沙汰だった為に久しぶりにするのは素直に嬉しい。
けれど、明日の事を考えるとあまり喜べるものではなかった。
それというのも―――

「それにアンタ・・・絶倫だし」
「・・・」

ヴィンセントは絶倫であった。
元々なのか改造されたからなのかは判らないが、その持続力は半端ない。
ユフィも戦いに身を投じている者なので体力は一般人以上にあるが、それにしてもヴィンセントの方が上の筈だ。
それでも満足するからいいのだが、翌日は足腰が立たなくなるというリスク付きだ。
これが何でもない日であれば問題ないのだが、明日も任務なのでそれをする訳にはいかない。

「・・・一回だけ」
「で終わらないだろ、絶対」
「・・・休憩挟んで三回」
「ちゃっかり増やすな!でもまぁ・・・絶対に休憩入れてくれる?」
「約束する」
「じゃあ・・・いいよ」

ユフィが頬を染めて照れ隠しに視線を逸らしたのを見てヴィンセントは苦笑しながら静かに電気を消した。












「はぁ・・・はぁ・・・っ!」

休憩を挟んでの三回目の情事を終えたユフィの息遣いは荒い。
ヴィンセントの律動は激しいものなのでそれも無理もない。
けれどこれで終わりかと思うと気が楽だ。
そう、これで終われば、だが・・・

「っ・・・ユフィ・・・後一回だけ・・・!」

まだ体力が残っていたのと、ユフィの息を乱して枕を掴むその姿にヴィンセントは欲情して再び貪ってきた。

(来ると思ったよ!!)

ユフィは心の中で涙目になって叫びながらも拒みはしなかった。
そしてその後、ユフィは一回ではなく三回抱かれたという。














翌日

シャドウフォックスが到着してヴィンセントとユフィが乗り込む。
が、ユフィはヴィンセントにおんぶされた状態で乗り込んだ。

「ユフィさん、どうしたんですか?」
「疲れが溜まっていたらしく、熟睡してる。到着する頃には起こしておくから気にしないでくれ」
「判りました」

納得した隊員を見てヴィンセントは心置きなく乗り込んだ。
二人が乗ったのを確認して隊員はドアを閉め、運転席に向かった。
数分もしない内にエンジン音が鳴り、シャドウフォックスが動き出す。
座席に横たえられたユフィはチラリとヴィンセントを見て呟く。

「バレなかったね」
「あながち間違いでもないしな」
「色んな意味でね」

言い訳をしている最中、ユフィは寝たふりをしていた。
昨夜の情事もあったのだから本当に寝てしまえばいいのだが、ぱっちりと目が覚めてしまったのでそれも適わなかったのだ。

「到着した時にまだ立てなかった時の言い訳はどうする?」
「んー、酔ったって言っとけば大丈夫じゃない?それに、急ぎの任務じゃなかったよね?」
「ああ。報告書の受け取りと内容確認、それから軽いモンスター討伐だ」
「んじゃ、アタシ報告書やるからヴィンセントはモンスター討伐してね」
「判った。到着するまでゆっくりしてるといい」
「判ってるよ〜ん」

軽く返事をしてユフィは目を閉じ、体の力を抜けさせるのだった。
その時、昨夜の情事を少し振り返ってしまった事はここだけの話しである。

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