古書U
□夜に・・・
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ああ、何回目の夜だろう。
ユフィが私と共に寝るようになってから。
「スー・・・スー・・・」
彼女は無防備にもその寝顔を自分に晒している。
目の前の男がまさか狙っているとも知らずに―――。
月明かりに照らされて妖艶に光る黒髪に指を通す。
柔らかで、心地よくて、その黒髪に口づけをする。
益々、愛しさが増して思わず抱き寄せた。
「う・・・んん・・・」
ユフィは少しだけ呻いたがすぐに寝息を立てた。
構わず、温もり溢れる身体を強く抱き締める。
伝わる体温、鼓動、柔らかな感触が更に自分を駆り立てる。
でも、今はまだそんな時ではない。
「・・・お休み、ユフィ・・・」
静かに囁いて、眠っているユフィの柔らかな唇に自分のそれを重ねる。
あまりにも柔らかいから少しだけ舐めてやった。
傍から見れば寝込みを襲っているように見えるが、彼女が悪い。
本当は“獣”の自分と一緒に寝るから。
少しだけ罪悪感はあるが、もうすぐユフィは自分のモノになるのだから構わない。
自分はユフィの事が好きで
ユフィは自分の事が好き。
仲間内にはバレバレで、自分にもバレバレ。
本人は気付いていないと思っているが。
そんな事をボンヤリと考えながら
今日もユフィを抱き締めて眠りに就いた。