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□別離をも絆とするは約束の地
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一方その頃、パラレルワールドにいるユフィはヴィンセント”とテーブルを挟んで事情を説明していた。
自分が誰であるか、どこから来たのかなど。
ヴィンセント”は最初こそは信じられないといった顔をしたが、すぐに信じてくれた。

ヴィンセント”「つまり君はパラレルワールドから来たという事になるんだな?」

ユフィ「多分。アタシは学生で子どもなんかいないし、ましてや結婚だってまだだし。
    何よりこの世界のアタシがヴィンセント”と結婚してたのが驚きだよ」

言いながらユフィはチラリと棚の上に置かれた写真立ての写真を見た。
写真に写っているのは、この世界の自分とヴィンセント。そしてその二人の子ども。
名前はカレンと言うらしい。
写真に写っているこの三人は幸せ溢れる笑顔をしていた。

ヴィンセント”「君の世界の私と君はどういう関係なんだ?」

ユフィ「んー、なんだろ。仲間っていうかなんていうか・・・」

ヴィンセント”「曖昧と言った所か?」

ユフィ「かなー・・・?」

ユフィは小さく首を傾げて答えた。
そんなユフィの様子にヴィンセント”は苦笑した。
ユフィの世界の自分は相当苦労しているに違いない。
ヴィンセント”はささやかながら心の中で小さく、ユフィの世界の自分を応援した。

ユフィ「てか、早くどうにかしないと!アタシも早く帰りたいしヴィンセント”も心配でしょ?
    この世界のアタシとその子どもの―――」

ヴィンセント”{カレンだ」

ユフィ「そうそう、カレンって子。あ、でも本当にカレンはこの世界のアタシと一緒にアタシの世界に行ったのかな?」

ヴィンセント”「カレンの靴はあるし、テーブルの上に描きかけの絵がある。
        荒らされた形跡もないし、恐らくはユフィ”の瞬間移動に巻き込まれたのだろう。
        今はそう考えて信じるしかない。それにあの子なら大丈夫だ。ユフィ”と私の子どもだからな」

冷静な分析をしてみせるヴィンセント”。
慌てずにしかも子どもの無事を信じている辺り、頼りのある父親だと思う。

ユフィ「そっか。あーあ、それにしてもアタシ本当に元の世界の戻れるのかな?
    アタシが元の世界に戻れればきっと奥さんなアタシ”もこの世界に戻ってこれるだろうしさ」

ヴィンセント”「きっと戻れるだろう。慌てずにこれからの事を考えるのはどうだ?」

ユフィ”「あーまぁ、そうだけど・・・やけに冷静だけど、この世界のアタシの事、心配じゃないの?」

ヴィンセント”「勿論心配だが、私は必ず戻ってくると信じている。
        結婚する際に約束をした、これからの人生はずっと一緒だとな」

ユフィ「お〜!」

クサイけれど何だか胸にキュンと来るセリフにユフィは感嘆の声を上げた。
どうやらこの世界の自分とヴィンセント”は相当お互いを信じ、愛し合っているようだ。
それに比べて元の世界の自分とヴィンセントは・・・うん、曖昧だ。
仲間って言うにはしっくりこないし、かといって他の言葉は思いつかない。
そんな風に色々考えていると、ユフィの携帯に着信が入った。
相手はエーコだ。

ユフィ「もっしー?エーコ?」

エーコ『ユフィ?ホントにユフィ?』

ユフィ「アタシだよ〜。ゴルアル学園に通って美少女のユフィちゃんだよ〜」

エーコ『良かった〜!やっぱりユフィもこの世界に来てたのね。今どこにいるの?』

ユフィ「なんていうか、この世界のアタシとヴィンセント”の家」

エーコ『アタシの他にラグナもこっちの世界に飛ばされてて、今セフィロス”の家にいるの。ユフィは今一人?』

ユフィ「ううん、この世界のヴィンセント”と一緒だよ」

エーコ『なら、そのヴィンセント”に教えてもらってセフィロス”の家まで来て』

ユフィ「はいはーい。じゃあまた後でね〜」

ピッとボタンを押してユフィは着信を切った。

ヴィンセント”「誰からだ?」

ユフィ「アタシのいた世界のエーコから。同じくラグナと一緒にこの世界のセフィロス”の家にいるんだって。
    ヴィンセント”はセフィロス”の家知ってる?」

ヴィンセント”「ああ。時間も時間で外は暗い。私も一緒に行こう」

そんな訳で二人はセフィロス”の家に行くことにした。
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