本棚

□理解不能
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「惚れ薬?」
「うん」
「・・・お前は惚れ薬がどういう物なのか判ってるのか?」
「そんくらいは判るっつの!」
ならば何故私に飲ませた?」
「本当に効くのかな〜って思って。ヴィンセントがアタシに惚れてくれたらそれはそれでいいし」
「そんな軽はずみな気持ちでやったのか?」
「アタシが軽はずみな気持ちでやったと思うの?」

ユフィは少し怒ったような悲しそうな表情を浮かべた。
ヴィンセントは小さく動揺して胸が痛んだ。
そしてそれを隠すようにユフィの持っている本を取り上げてユフィが見てた項を読んだ。

「・・・実験室、借りるから。早く読み終わって持ってきてよね」

ユフィは少し拗ねたような口調で魔法薬が置いてある実験室へ向かった。
気まずい空気が残るものの、ヴィンセントはそれを振り払うように本に集中する。
ページには惚れ薬の材料、分量、出来上がった時の色など事細かく書いてあった。
解毒剤の作り方も書いてあったが、その一番下の幾つかある注意書きの内の一つに目が釘付けになった。

『※既に相手が自分に好意を抱いている場合は効果が出ません』

一瞬、どういう意味だが理解出来なかった。
認めたくない訳じゃないが、自覚をすると動悸が止まらなかった。






そんな吸血鬼の様子を魔女はこっそりと見て笑っていた。












END
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