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□身長差
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「ふむふむ・・・」

ユフィは先程から私の顔と私の首元辺りを見比べている。
この見比べに何の意味があるのか正直私には判らない。
だから聞いてみる事にした。

「・・・何をしてるんだ?」
「え?ああ・・・軽い成長日記?」

語尾に疑問符を付けられてもこっちが困るのだが・・・。

「成長日記?」
「そ。アンタと会って早三年。出会ったばかりの頃のアタシが正面を向いた時に見えるアンタの体はここら辺」

そう言ってユフィは私の胸の中心より少し上に指を当てた。
更に続ける。

「んで、それから二年後の時は大体この辺」

私の胸の中心より少し上にあった指がまた少し上に移動する。

「んで、またそれから一年後の今はこの辺かな」

一センチ行くか行かないかの幅でユフィの指がまた上に移動した。
その指は首元に近かった。
成程、それで自分の首元辺りを見ていたのが頷ける。
だが、疑問がもう一つ。

「お前の身長を計るだけなら、私の顔を見る必要はあるのか?」
「そ、それはその・・・別に・・・」
「ん?」
「あ、あとどのくらいでヴィンセントに見下ろされなくて済むか見てただけだよ!」
「ほう?」
「ほ、ホントなんだかんね!!」

ユフィは顔を赤くして言い張るが、とりあえずはそういう事にしておいてやろう。
だが、いつか絶対に聞き出す。
その時のユフィの反応が楽しみだ。

「それで?成長してるのは身長だけか?」
「し、身長だけじゃないに決まってんじゃん。他にも色々成長してるし、これからもどんどん成長ずるんだから」
「それはどうだろうな」
「ムッカ〜!それどういう意味だよ!?」
「お前の成長には特殊な経験も必要だ」
「特殊な経験?」
「そうだ。私ならば教えてやれるが、もしも私から教われば他から教わる事は不可能になる」
「え、ちょっ、それってどういう・・・」

顔を赤くして動揺するユフィが面白くて、わざと黙って見つめる。
ユフィはしばらく目線を彷徨わせていたが、とうとう耐えきれなくなって苦しい口実を言い出した。

「そ、そーだ!今日はシェルクに用事があったんだ!早く行かないと!!じゃーね!!」

有無を言わせずにユフィは慌ただしく出て行った。
賑やかだった空間は一気に静まり返る。
それにしても、あの反応は思い出すと笑いが込み上がてくる。

「・・・ククク・・・」

自分が何を言っているのか察したのか、それとも直感で“危険”だと感じたのか。

それにしてもユフィの身長はこれ以上あまり伸びてほしくなかった。
あの位の方がスッポリ抱きしめられそうだし、何より身長差キスというのも良いものだと思う。
大した差はないかもしれないが。

「私も成長日記を付けるか」

ある意味楽しくなりそうだった。












END

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