なんか

□英雄(笑)
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「帰ったぞ!」

おや、鍛練に出ていた孫権が帰ってきたようだ。
松風に乗って顔を真っ赤に・・・・・・真っ赤に?

「二次会はここか〜!?」

違う。

「権兄様・・・酔ってる・・・」
「鍛練に出た筈がどーして酔ってるんだろう・・・」
「鍛練に向かった所は小田原城ですし・・・パーティーを組んだのは周泰殿と酒呑童子―――」

「「あ・・・」」

孫権と酒呑童子を組ませる事を今後一切禁止しよう。

「すまん、少し喉が渇いたからと言っていたから瓢箪の中の酒を飲ませたらこんなことになった」
「お前はあの大惨事を忘れたのか?」
「あれは人間の芸ではなかったのか?」
「あれが人の芸なら私はとうに人を嫌っている」

酔っ払い孫権を見て逃げる者や便乗すれば難を逃れられると考える者。
明らかに前者が賢明な考えであるが逃げる事は皆無。
なぜなら―――

「逃げるな!愚か者!!!」

いつにない孫権の威厳ある一喝に、考えとは裏腹に体が逃げる事をやめてしまうからだ。
恐らくは本能的に逃げれば死ぬ、という思いがあるからだろう。
それにしても、酒はここまで人を変える。
しかもこれは悪い意味でだ。

「よく見ておけ、かぐや。酒に逃げるとこのようになる」
「はい、太公望様」

教育は今の内にしっかりしておかなければいけない。
でないと甲斐姫のように品のない攻撃の掛け声をしてしまうからな。

「それ酷くないですか!?」
「事実だ」

さて、酔っ払った孫権に対して今度はどんな大惨事が起こるか見物だ。

「福島!!」
「な、なんだよ?」
「今すぐ一人で妖蛇を討伐してこい!!」
「ええっ!?無茶ッスよ!!」
「そこの道から行けるから行ってこい!!」
「マジッスか〜!?」

項垂れながらも福島正則は妖蛇討伐ミッションに出かけた。
普通だったら行くふりをして逃げるものだがあの男の頭の回転は鈍く、
そんなことを思いつかずに真面目に一人で妖蛇を討伐しにいくだろう。
心の中で合掌しておくとするか。

「加藤清正!!」
「な、なんだ?」
「好きな女を大声で言ってみろ!!」
「ええーーーーっ!!!??」

おや、今度は公開処刑か。
いくらねね大好き丸出しの加藤清正でもこれは公言出来ぬか?
しかも大声で。

「どうした、言えぬのか!?」
「お、俺は・・・おねね様が大好きだーーーーーーーーーー!!!!」

気持ち悪いな。

「かぐや、あんな男を好きになるなよ」
「はい、太公望様。それに守備範囲外ですから大丈夫です」

よしよし、いい子だ。
それにしても、あの温厚なかぐやにまで見放されるとは・・・加藤清正も終わったな。

「だからどうした!!」

孫権は何が気に入らなかったのは判らないが、理不尽にも加藤清正を背負い投げした。
これはこれで良かったかもしれん。
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