伝記

□漂う海賊船  前編
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各々は何も気にすることなく何気に楽しんでいた。
しかし、そうやって遊んでいる内に霧が出始め、次第に濃くなっていった。

スコール「霧が濃くなってきてないか?」
ワッカ「そういえばそうだな」
ユウナ「何だかちょっと危なくない?」
エーコ「ねぇ、あそこ。何か見えない?」

エーコが指した方向に皆は振り向く。
微かではあるが、霧の中で影のようなものが見えてきた。
それはどんどんこちらに向かって来ていて、次第に姿を現してきた。

レノ「おいおいおい・・・」
ゼル「マジか・・・!?」
ルールー「本物かしら?」

嘘だと思いたいがこれは現実だ。
そして、風神がその現実を口にした。

風神「海賊船」

皆が息を呑む。
歴史の教科書で少ししか出なかった海賊船。
現代ではあること自体がおかしい。
しかし、認めざるを得ない。
それは皆が乗っている船よりも大きく、古びていて威厳があった。
その海賊船が徐々に徐々に近づいてくる。
だが、あまりにも意外過ぎて誰も動くことが出来ない、喋ることも出来ない。

そうしてしばらくすると、海賊船はとうとう真横まで来ていた。
帆にはチョコボの羽のついた海賊帽子を被っている髑髏が描かれていた。
船の上には何人か人がいるようである。
そして―――船首には船長と思われる男が立っていた。
見た目は二十代後半で茶髪。
顔はイケメンに入る部類で左目は眼帯をしている。
加えて、頬には傷跡があった。

船長「ん―――・・・?」

男がクラウドたちに気付く。
クラウドたちの姿を認めた後、目を大きく見開いて叫んだ。

船長「おい、碇を降ろせ!!!」

すると、船員たちは「へいっ!!」と声を上げて碇を降ろす準備に取り掛かった。

船長「申し訳ございませんが、止まって頂けないでしょうか?」

船長が脱帽し、頭を下げるとがクラウドたちは固まったままだ。

ティーダ「・・・どうする?」

やっとの思いで口を開いたティーダの言葉に皆は現実に戻される。
―――しばしば話し合った結果、こちらも碇を降ろすこととした。
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