伝記

□夢の糸  前編
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クラウドは目を覚ました。
しかし、そこはいつもの天井が目の前に広がる寮の部屋ではない、本編での光景でもない、何だか見た目がフワフワしている空間だった。
ムクリと起き上って周りを見渡す。
しかし、あるのは気持ちよさそうに眠る仲間たちの姿があった。
パジャマじゃなくて、普段着を着て―――。

クラウド「・・・」

クラウドは、目の前の光景があまり信じられなかった。
なので、クラウドは、この状況を誰よりも理解してくれるであろうスコールを起こす事にした。
本当はティファを起こしたかった所なのだが、彼女は愛らしい寝顔を浮かべながら眠っているので、起こすのはとてつもなく可哀想だ。

スコール「俺は・・・可哀想じゃ・・・ない、のか・・・」

こんなどうでもいい文書にツッコむスコールに、クラウドは・・・

クラウド「せめて日常のボケ処理を手伝ってくれよ」

と、一人呟いた。
まぁ、そんな事は置いといて、早速スコールを起こす事にした。

クラウド「スコール、起きてくれ」
スコール「んん・・・何だ?まだ目覚ましは鳴ってないだろ?」

やや不機嫌なスコール。
気持ちは判らないでもないが、クラウドはそれでもスコールを起こした。

クラウド「いいから起きてくれ!何かおかしいんだ」
スコール「何が?」

スコールも起き上って周りを見渡す。

スコール「・・・」

最初で述べたように、周りにはパジャマではなく、普段着を着て寝てる仲間がそこらへんに寝転がっていた。
そして、パジャマに着替えた筈の自分とクラウドも、普段着姿だった。

クラウド「・・・信じられるか?」
スコール「判らん。だが、確かめられる方法は一つ」

スコールとクラウドは立ちあがり、ティファやゼルが構えるのと同じように構えた。
そして、黄金の右拳にぐっと力を込めて、引いていた足と同時に右拳をお互いの腹目掛けて突き出した。

クラウド「ぐはっ」
スコール「うがっ」

馬鹿と思われるかもしれないが、こうでもしなければ、夢かどうか確かめられない。
こういうのは、頬をつねるのが相場だが、何だかそれは恥ずかしい。
なら、カッコよく腹を殴ろうじゃないか、というのが二人の結果なのだ。
しかし、傍から見ればただのバカ共がお互いを高め合っているか何かしか見えない。

二人は、腹を摩りながら確かめ合う。

クラウド「痛いか?」
スコール「・・・痛いようで、痛くないんだが・・・」
クラウド「本当か?俺もなんだが・・・」
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