伝記

□後編
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さてさて、砂の鍵を手にいれたギップル・レノ・ゼル。
三人は砂のドアの前に来ていた。

ギップル「砂の鍵を手に入れたった簡単に言うけどよぉ、この鍵、よく壊れないよなー」
ゼル「ぎゅって握ったら壊れるんじゃね?」
ギップル「いや、壊れねーんだわこれが」
ゼル「じゃあ、叩き割ったり・・・」
レノ「壊すのが目的じゃねーだろ、と」

あらぬ方向へと話を進めようとする二人の会話をレノが打ち切る。
二人は「あ、そうだった」と言って、鍵を壊す談義をやめた。

ギップル「じゃあ、入れるぜ?」

ギップルは二人に確認した後、砂の鍵を鍵穴に差し入れた。
ゆっくりと回すと、ガチャリと音がする。
そして、扉を開く。

ギップル「ん?」
レノ「あり?」
ゼル「なんじゃこりゃ?」

扉の向こうは、一面の砂漠だった。
風が吹いているらしく、砂が舞っている。
そして、そんな砂のフィルターがある中、ギップルはある人物を見つけた。
それは―――

ギップル「リュック・・・?」

そう、子リュックではなく、いつものリュックだった。
リュックは遠い目をしてどこかの方を見ている。
やがて、ギップルたちに気付いたらしく、近づいてきた。

リュック「ギップルたちじゃん。何してんの?」

その声音にいつもの快活さはなく、酷く落ち着いていた。
リュックのその質問にギップルたちはギョトン、として顔を見合せながら言い放った。

ギップル「何って・・・なぁ?」
レノ「なぁ?」
ゼル「子どものリュックを捜しに来たんだよ」
リュック「そっか」

沈黙が走る。
しばらくすると、リュックは「じゃあね」と言って砂漠の奥へと歩き出した。

ギップル「お、おい!どこに行くんだよ!?}
リュック「アタシの捜してるもの」

振り向いたリュックは儚げに笑って更に歩いて行く。
そして、途中でピタリと止まってギップルたちの方を向いて言った。

リュック「追い掛けちゃ駄目だよ?」

そしてまた歩き出す。
三人はその後ろ姿を茫然と見ていた。
やがて、リュックは砂の山を登った。その時、また振り向いて今度は三人に手を振る。
砂風の所為もあり、リュックの姿は段々見えなくなってきた。
そして、何を思ったのか。
ギップルはリュックを追い掛けようとした。
否、追いかけなければならない気がしたのだ。
そうして一歩を踏み出そうとしたその瞬間―――

子リュック「こら〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!!!!!!!」
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