伝記
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翌日になってユフィは治安維持団体本部に戻った。
そして司令官のリーブに報告した。
「リーブのおっちゃん、例の屋敷の調査終わったよ」
「ご苦労様です。報告書は出来てますか?」
「もっちろん!」
言いながらユフィは報告書をリーブに渡した。
勿論、報告書の内容はおかしくないように編集してある。
リーブは報告書の内容をザッと見ながらユフィに尋ねた。
「モンスターが本当にいたんですね?」
「う、うん。勿論倒してきたよ」
「人はいなかったんですね?」
「いなかったよ。でも家具とか日用品とかあったからただの留守なんじゃない?そんでたまたまモンスターが来たとか」
「なるほど・・・けれど、きっとそうでしょうね」
リーブは一人頷きながら何か納得したような顔をした。
そんなリーブの様子を不思議に思っていると、ユフィに声をかける男がいた。
「やぁ、ユフィ。任務は終わったのかい?」
ユフィの気分は一気にどん底に落ちた。
この声をかけてきた男、以前からユフィに言い寄っている金持ちもとい貴族の息子である。
暇が出来ればユフィのところに来てあれこれ言って誘ってくる。
しかし、ユフィにとってそれは鬱陶しくて堪らなかった。
「おしゃれな喫茶店を見つけたんだ。一緒にどうだい?」
「約束があるからいい」
ユフィは冷たくあしらってその場を去った。
しかし、男に諦めた様子はなかった。
お気に入りの喫茶店でユフィはシェルクとケーキを食べながら話をしていた。
「もーさぁ、いい加減あの男しつこいんだけど」
「そろそろストーカーの域に達しますね」
「あれ逮捕出来ないかなぁ?」
「相手は貴族ですし、難しいものがありますね。まぁ、それ以上にマズイものが出てくれば逮捕出来ますけど」
「先は長いか・・・」
ユフィはしんどそうな顔をしながらストローでオレンジジュースを飲んだ。
その際にチラリと窓の外を見ると、お菓子屋が目に入った。
あの屋敷にいるセルフィたちはお菓子は食べられるだろうか?
「どうかしましたか?」
「え?うーうん。あそこのお菓子屋でお菓子買おうかなって。疲れた時には甘いものって言うじゃん?」
「なるほど。では私も買いましょう。お姉ちゃんにお土産です」
「じゃあ行こっか」
そんな訳で二人は喫茶店を出てお菓子屋に向かった。