伝記

□完結
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「こんにゃろ!!」

ユフィはエサ皿を手に取って鎖を引っ張りながら鎖を叩いた。
渾身の限り叩くが中々壊れない。
必死で鎖を叩いてると、ドアノブのない扉が音を立てて開いた。
勿論、出てきたのはあの男だ。

「何をしてるんだい?ユフィ」

何食わぬ顔で問いかけてきた男をユフィは精一杯睨みつけてやった。

「見て判んない?アンタ、自分が何したのか判ってるの!?こんなん正気の沙汰じゃないよ!!」
「そうかい?僕はそうは思わないな。言う事を聞いてくれないなら躾ける。これは常識だろ?」
「んな訳あるか!!これ監禁だよ!?立派な犯罪だよ!!」

瞬間、男はユフィの頬にビンタを食らわした。
男のビンタは強く、ユフィはよろめいた。

「うっ・・・!」
「これからもそういう反抗的な態度を取ったらこうやって叩くからね。
 それでもダメだったら僕にも考えがあるから。それじゃあね」

男は言うだけ言って部屋を出て行った。
残されたはユフィは叩かれた頬を抑えながら唇を噛んだ。

「絶対逃げ出してやるんだから・・・!」

ユフィは再び鎖の破壊に取りかかった。















一方その頃、ヴァレンタイン邸では・・・


「どーやって乗り込む〜?」

どうやって殴り込むか悩んでいた。

「せめて人間の姿だったらどうとでも行けるのにな」
「せやけど現実は動物と人形やん。旦那様に至っては獣やからすっごく目立つし・・・」
「お荷物って事で箱の中に入って潜入するのはどうかな?」
「誰が荷物を運ぶの〜?」
「あ、そっか」

あれやこれやと意見を出すがどれもこれも行動に移すまでに至らない。

「ヴィンセントにはマントでもなんでも着てもらって、それでアタシたちを運んでもらうってのはどーやろか?」
「街は突破出来るけど屋敷への潜入は難しそうじゃない?」
「そこはもう強行突破や」
「でも仮にそうするとして、どうやって運んでもらうの〜?」
「そりゃ袋にでも入って人形のフリすれば万事解決だろ」
「僕とギップルはキツくない?どこまで誤魔化せるか・・・」
「だったら!」

リュックはパチンッと指を鳴らしてセルフィに耳打ちした。
セルフィは何回か頷いた後、リュックと共に部屋の外へと駈け出した。
それはそれはとてもいい笑顔で。

「・・・どう思う?」
「嫌な予感しかしない」
「頑張れ」
「他人事みたいに言ってるけどヴィンセントも被害に遭わないとは限らないんだからね」

アーヴァインの言葉にヴィンセントは黙った。
少ししてセルフィとリュックが戻り、惨劇は起きた。
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