伝記

□ありがちなネタ前編
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バレットに頼まれていた物を運ぶのも兼ねてニブルヘイム付近へ移動する事となった四人。
勿論、シドの飛空艇でGO!だ。
なのだが・・・

「うっ・・・うぇぇ・・・」

例の如くユフィは激しい船酔いに苛まれていた。
事故で記憶を失ったとはいえ、身体機能に異常はなかったので三半規管が弱いのは健在のようである。

「・・・大丈夫か?」
「話し・・・かけない、で、うっぷ・・・」

記憶を失う前のユフィが『いつもの場所』と称していた所に記憶を失ったユフィはいた。
飛空艇が動き出してすぐに酔い始め、酔いの元となる振動などがあまり酷くない所を求めった結果、ここに辿り着いた訳である。
それもすんなりと。
これが本能なのか無意識の習慣によるものなのかは判らないが、今の所記憶に変化はない。

「ユフィ、冷たいタオルです」
「あり・・・がと・・・うぇっ・・・」

シェルクが持ってきた冷たいタオルを額に当ててユフィは少しでも船酔いを和らげようとする。
ここまで酷いと哀れな気持ちになってくる。

「大丈夫ですか?もうすぐ着きますから頑張って下さい」
「うぅ・・・ん・・・」

シェルクが優しくユフィの背中をさすってあげると、ユフィは力なく頷いた。
こんなユフィの為にも一刻も早くニブルヘイム付近に到着する事をヴィンセントは願うのであった。











「はぁっ!?記憶喪失!!?」

ニブルヘイム付近で石油の発掘作業をしていたバレットに会うと、バレットもこれまた似たような反応を返してきた。

「そーなんだよ、コイツいっちょ前に記憶喪失になりやがったんだ」
「オイオイオイ、マジかよ。つーことは何か?やっぱ俺の事も覚えてねーのか?」
「うん、ごめん。アンタの事も判らない。つか、この手何?ロケットパンチとか出来るの?」

バレットの右手を指してユフィは目を輝かせながら質問をする。
その瞳の輝き方はまるでロボットなどが大好きな少年そのものだ。

「いや、そんなカッチョイイもんは出来ねーけどよ・・・これはガトリングガンになるんだ」

そう言ってバレットは右手を変形させてみた。
すると機械仕掛の鋼鉄の手はその形を崩すと別の形へと姿を変え、瞬く間にガトリングガンへと変身した。

「どーだ!」
「おおー!カッコイイ!!ねぇねぇ、サイコガンとかにも変形しないの?」
「だからそんなカッチョイイもんは期待すんなって。まぁ、検討してみるけどよ」
「検討すんのかよ!」

シドがツッコミを入れると三人は大きく笑った。
こんな風景も普段と変わらず、ユフィも記憶がないとはいえ、そこに違和感はない。
本当に記憶を失っているのだろうか、と思うくらいに。

「にしても記憶喪失なぁ・・・何か方法はねーのか?」
「あったら何とかしてらぁ。ま、元に戻る時を待つしかねーな」
「やっぱそうなるか。ユフィ、辛いかもしんねーけど頑張れよ」
「うん、ありがと」
「ところでシドよ、オメーこの後は予定あんのか?」
「あ?コスモキャニオンに寄ってナナキに会ってからコイツらをセブンスヘブンに送ってくつもりだが何か運ぶもんでもあんのか?」
「こりゃ好都合だな。あそこのオレンジのテントが俺のテントなんだけどよ、あそこにラッピングされたプレゼントが二つあるんだ。
 マリンとデンゼルへのプレゼントなんだ。悪ぃけどついでに持ってってくれねーか?」
「おう、いいぜ」

言ってシドはバレットのテントへと歩き出し、プレゼントを取りに行った。
その間にバレットはヴィンセントとシェルクの方を向いて言い放つ。

「ヴィンセント、シェルク、ユフィの事頼むぜ」
「ああ」
「はい。それから―――」
「ん?何だ?」
「ロケットパンチとサイコガン、WROの技術をもってすれば作れない事もないですよ?」
「マジか!?」
「あっははは!」

シェルクとバレットのやり取りに、ユフィはまた大きく笑うのであった。
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