伝記

□今宵の夢は2
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「え〜?何そのクソゲー臭溢れるパチもんゲー」
「私が作ってみたオリジナルのクソゲーよ!研究に研究を重ねて頑張って作ったんだから!」
「頑張るとこの方向違う・・・てか、ついさっきのかっこいいフレーズはなんだったの?」
「最後を盛り上げる為のものよ。さぁ、頑張るわよ!」
「何を〜?」
「そうねぇ、やっぱりここは魚釣りじゃないかしら?」
「魚釣りか〜・・・まぁ無難なとこだし、いっか」

しかしユフィは忘れていた。
クソゲーというのはあらゆるものがクソ要素で成り立っているのを。
普通に楽しめるミニゲームすら精神的苦痛を与えうるものになるという事を。
しかし、それはクソゲーに限られたもの。
今のユフィとルクレツィアが興じているものは・・・

「・・・あのさぁ」
「ん?」
「びっっっっっみょ〜」
「ええっ!?そんな筈ないわ!だって精神的苦痛になるだろうと計算して―――」
「あのさー、クソゲーハンターなら分かるっしょー?
 クソゲーっていうのは計算して作るもんじゃなくてナチュラルに出来るもんなんだよ。
 こ〜んな絶妙に魚じゃない残念なもんばかりが釣れるのはクソゲーとは違うんだよ、ビミョーゲーって言うんだよ。
 ていうか中途半端なゲーム?名作にも中堅にもクソゲーにもなりきれない残念なゲームだね」
「そこまで言われると心が折れるわ・・・」
「だぁってビミョーなんだもん」
「う〜ん・・・まだまだ研究が必要みたいね」
「研究して出来るもんじゃないんだってば。それよか他にビミョーな要素ってあんの?」
「微妙って言わないでよ・・・鬼畜難易度のチョコボレースとかクリアしても特に意味のないミニゲームとか」
「どれもビミョーだな〜。この分だとストーリーもビミョーそう」
「・・・そう言われると確かに微妙な気がしてきたわ。もう一回練り直さなきゃ」
「計算して作るなよ〜?クソゲーは天然物なんだから」
「そう言われると難しいのね、クソゲーって」
「最早アンタは一体何を求めてんだよ・・・」

ユフィは呆れたように息を吐いて指をパチンと鳴らし、ルクレツィアの作ったゲームの世界を消した。
そうして世界は戻り、ルクレツィアの快適マイルームと化しているユフィの夢の世界へ。

「ま、最後はビミョーだったけど楽しかったよ!また遊ぼっ!」
「勿論!ちなみに今回遊んだゲームはセーブデータとして保存しておくからまた遊べるし、
 私がなんやかんや頑張ればゲームソフトにして遊ぶ事も出来るわ!」
「マジで!?すっごい楽しみなんですけど!」
「期待しててね」

ウィンクをするルクレツィアにユフィは興奮を隠せない、といった笑顔で返す。
そうしてお互いにまるで子供のように笑い合いながらその日の夢の遊びを終えるのだった。












あれから三日後。
しばらく静かだったルクレツィアから久々の呼び出しを受けるユフィ。
今日は一体どんな遊びをするのだろう。
この間の『かまいたちは夜』の続きでもするのだろうか。
ウキウキとしながらルクレツィアを探すと―――ルクレツィアは部屋の隅に片腕を抱えながら俯いていた。

「どーしたの?そんな暗い顔して」
「・・・・・・あのね・・・」
「うん?」
「この間のゲームのデータ・・・・・・バグって消えちゃった・・・」
「えっ」











END
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