鼻毛スピリッツ

□鼻毛8『オイルですーべすべ』
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「オレちんからはオリーブオイルを渡すぞ」
「あ、そんなにしてくれなくても―――」

ビュティが振り返ると、丁髷にちょび髭を生やしてオレンジが基調の真夏の恰好をした男が立っていた。
うん、見るからに怪しい。

「って!アンタ誰!!?」

「オレちん?オレちんは毛狩り隊派遣ブロック隊員・アブラーだ」

「毛狩り隊!?」

ヘッポコ丸が構える。

「ビュティにオリーブオイルを渡すとは・・・お前!一体どんなチョコを貰ったんだ!!?」
「違うでしょ!!ていうか毛狩り隊にチョコなんて渡さないし!!」
「判らないわよ〜?本当は媚びでも売って自分のヒロインとしてのキャラを立たせるよう言ってるのよ、きっと」
「だから違うってば!!」

ボーボボと首領パッチの悪ふざけを否定するビュティ。
ランバダはそれを近くの木に寄りかかって眺めており、今回の相手に興味はないようだ。

「そのオリーブオイル貰ったぁあ!!」

天の助がアブラーからオリーブオイルをひったくる。

「安心しろ、ビュティ!オレがこのオリーブオイルの毒見をしてやるからな!」

そう言いながら天の助はオリーブオイルの蓋を開け、自分の頭からかけた。
そして「とうっ!」という声と共に体を丸めてガスコンロで熱したフライパンの上に寝転がる。
ジュ〜という焼ける音と香ばしい香りがして、五分とたたない内に天の助をベースとした料理が出来た。

「さぁ召し上がれ!」
「自分で毒見するんじゃなかったの!?」

天の助のこの行為は明らかに人に毒見をさせている。
矛盾しているが天の助だから仕方ない。

「「いただきまーす!」」

ボーボボと首領パッチが箸で天の助の体を摘まんで口に運ぶ。
次の瞬間―――

「「ぐばぁあっ!!!」」

「どうしたの!?まさか毒が・・・!!」
「そうじゃ・・・ねぇ・・・」
「ところてんが・・・腐ってたみたい、だ・・・」
「うそぉん!?」

ダウンしたボーボボと首領パッチに対してショックを受ける天の助。
まぁ、ところてん歴30年以上なら仕方ない。
そうこうしている間にアブラーが言う。

「アッアッアッ!そのオリーブオイルはほんの挨拶代りだ」

「随分丁寧な挨拶だな」

ヘッポコ丸のツッコミはもっともであった。

「だが、オレちんの『オイルめっちゃ投げる真拳』でお前らはここで死ぬのだ!」

「『オイルめっちゃ投げる真拳』!!?」

勿論驚いたのではなく、ツッコんだのである。
しかし、ビュティとランバダを除いた四人の反応は違った。

「『オイルめっちゃ投げる真拳』だと!!?」
「やべぇぞコイツ!」
「今回はマジで行かないと死ぬぜ?」
「『オイルめっちゃ投げる真拳』、それは世界三大最強奥義の一つ。この真拳はとてつもなく極悪で―――」
「あれ!?この真拳そんなに凄いの!!?」

ボーボボ、首領パッチ、天の助、ヘッポコ丸の順で真面目になっていく。
オイルめっちゃ投げる真拳などという、真拳ですらも怪しい技がそんなに凄いのだろうか。
この業界はまだまだ奥深い。

ビュティはまた賢くなった。
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