お話
□陽炎
1ページ/3ページ
今日はせっかくの休みなのに暑い日、わざわざ俺がアジトに来たのは、ただ、あの子に会いたいくて。
「あー!ジェラート!」
「おはよう!イルー!!」
長い髪をなびかせて駆けてくる。ああ、今日も可愛いなぁ。
「今日はお休み?」
「うん。お出掛けしよぉ?」
邪魔者(メローネ)が来る前に。
「する!あ、ちょっと待ってて、お小遣いもらわなきゃ!」
「あ、そうか」
イルはなんていうか、お金の使い方がヘタで、何でもかんでも買っちゃうから、イルのお金はリーダーが管理してるらしい。
イルがリーダーの居る部屋にトコトコと向かうその姿は、何度見ても女の子なんだよなぁ。
「間違えるのも無理ないよなぁ…」
ひとりごと。
間違えたのは、俺の事。
だってさぁ、あんなに小さくて、あんなに綺麗で、あんなに可愛いんだよ?
純粋無垢っつーのかな?自分の可愛さに全く気付いてないんだよ?