物語
□キャッチボール・3球目
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中止になったその後に天気は回復した様で、前回からしばらくたってまたもやキャッチボールは再開した。
今、コイツは俺のそばに恐る恐る寄って来て、横にちょこんと座った。
ソファの上なのになんでか体育座りして。
「あの…」
「うん?」
なんでコイツはいつも急に話し掛けてくるんだ。
前回の反省を機に、出来るだけ無愛想にはならない様にした。つもり。
ちなみに今回は誰もギャラリーはいない。正真正銘のふたりっきりだ。
「あ、の…オレ…もしかしたら…ね、混ざりたかったのかもしれないんだ」
「ほう…?」
コイツの話が急に始まり、急な内容であるのは重々承知している。願わくば、それが急に終了しないこと。
「見てるのは…楽しくなかった」
「うん」
「羨ましかったんだ、と…思う」
「混ざりに行けば良かったのに。お前なら溶け込めると思うけど」
いろんな意味で。
「…むりだよ……人付き合いとか…こわい……」
暖房の効いた部屋で、寒そうに身を震わせた。
「そうか?」
「そうなの。どうせ、すぐに飽きられるんだもの」
「…なんで…」
なんでそんな事決まってんだ?