のべる
□その頃、男2人は
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12月29日。
この日は俺にとってとても重要な日だ。あえてストレートに大切と言わない辺り、俺は随分ひねくれていると自分でも思う。
昔からそうなんだ。俺は素直ではないと、自分だ分かっている。
12月29日。
態度にも言葉にも出さないが(いや、出すつもりなんてさらさらないが)、この日だけはどうしようもなく寂しくなる。なぜこの俺様がこんな感情に捕らわれないといけないんだ。
答は分かっている。
今日この日、のぞみはきっと1人で泣いているからだ。幼なじみである俺や宍戸、あいつの女友達にすら黙って…
1人で泣いている。
慰めないんじゃない、慰めることができないんだ。
今日この日、
あいつを慰めるには俺自身があの男、日向ヒザシの存在を認めなければならないと思ってしまうからだ。
俺は、
あの男が嫌いだった。
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