記念小説を入れていくよ(・ω・´)

□聞き耳
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チャイムが鳴り授業が始まる。
今日の午後一番の授業は現国。
僕、志村新八は授業用具を机の上に出し銀八先生の話に耳を傾けようとした。
けれど。


「さぁ、高杉。夜の続きをしやしょうぜぃ?」

「えっ、いま…?」

「そういま。逃がさないよ晋助、覚悟してね?」


授業開始の挨拶の直後、ガタリと音をたてて3年Z組の問題児170cmトリオの高杉さん、神威さん、沖田さんが机を動かしくっつけた。
もっと言えば神威さんと沖田さんがまるで高杉さんを逃がさないように両側から机で挟む形。
そして、今の台詞。


「…………」


銀八先生のチョークが音をたてて折れた。
凍りつくクラス。
先生と高杉さんは誰もが知ってる公認のカップルなのだ。
だからそれを知っているクラス皆で反応してしまった。

そう、『夜の続き』という言葉に。

まぁ先生の反応は過剰すぎる気もするが、あの三人がわざわざ机を動かすなんて。


「………」


神楽ちゃんと目があった。
輝く瞳。

そうだよね、あの三人の謎の行動。
…気になるのは僕だけじゃない。

其処から教室全体に冷たい空気が流れた。
いつもは騒がしいZ組が全員で三人の言葉に聞き耳をたてからだった。


「逃がさないって絶対やだ。昨日、充分やっただろ」

「あれだけで?…晋助体力ないなぁ」

「すぐ落ちたしな」


そんなクラスの状況に全く気付かずに三人の話は続く。
先生は黒板を書きながらも手が震えていて文字になっていない。
仕方ないかな。
だって追加された言葉の内容。
高杉さん、嫌がってるし。


「あのなっ、ずっと向き合ってやってたらそりゃあ。別に体力なくねーから。お前らが元気すぎんだよ…」

「えー?普通だよー」

「普通じゃない。つーか、詳しすぎる。あんなん一気に覚えるの…無理だ」

「高杉ぃ、むしろやり方をあんなに知らない方が今時珍しいでさぁ」

「うんうん。晋助本当に男子?」

「……くっ」


何のやり方!?
そっちの方にしかとらえられないのは僕が思春期だから?
あれ土方さん、顔が赤くなってます。


「それにしても晋助があんなに弱いとは思わなかったなぁ。ねー総悟」

「そうそう。すぐ声だして体くねらせて。てっきり銀八とやってるもんだとばっかり思ってたからなぁ」

「っ銀八は…たまにしかやらねぇよ。それにやるときはお前らと違って優しいから」

「へー優しいんだぁ」

「結構甘いんでさぁ銀八は。仕方ないねぃ。これは将来の為に俺らがきっちり面倒みてやんなきゃなぁ…?」

「わー大変だぁ。元からそのつもりだけどね?」

「はっ!?いらねぇよそんな面倒!!つーか、将来絶対使わねぇから!!」


ボキリ。
先生のチョークが折れるどころか粉になって宙をまった。
山崎さんが何を思ったか耳を塞ぎ首を振る。


「いやー絶対必要になるって。だって銀八とやるんでしょ?なら…」

「だからたまにしかやらねーつってんだろ!!」

「それじゃたまにやる時に上手い方が喜ばれるぜぃ?」

「それこそねーよ…。銀八ドSだし……へ、下手でも喜ばれる」


其処でそっと高杉さんの顔を覗き見ると顔を赤くし下を向いて、なんとも言えない表情になっていた。
それに気付いた神威さんが高杉さんの頭に手をおく。


「あっ、下手って認めた。大丈夫だって最初はあれくらいの方が可愛いよ晋助」


撫で撫で。
高杉さんが顔をあげる。


「……神威」

「同時に苛めちまったしなぁ。高杉可愛いから」

「可愛いとか言うな馬鹿!!俺だって必死で……お前ら意地悪だ」


…見てられない。
先生が黒板を書くのを諦めた。
あまりの甘い雰囲気に注意すら出来ず脱力している。
てか、神楽ちゃんのにやにや顔。
意味わかってんのか神楽ちゃん。


「可愛いでさぁ。まだ全然途中なのに目に涙ためて…そりゃ意地悪にもなるだろ」

「最後までいけるかつい実験しちゃったんだよね。あまりに反応がいいから」

「〜〜っ!!初めてなんだ、仕方ねぇだろ!!」


先生撃沈。
机に頭を打ち付けながら何を考えてるか手に取るようにわかる。
多分、俺が影分身さえ出来れば…だろう。
いやいやあんたが影分身出来たら高杉さん死ぬから。


「じゃあ、今から二回目を始めやしょうか」

「へっ、マジで?ちょ、待て…ッッ」

「……大丈夫だって昨日たくさん仕込んであげたんだから」

「いきまさぁ…」

「やだッッ、あっ!!なんでぇ…無理っ、あぁ!!」

「あんまり声出しちゃ駄目だって。ばれちゃうよ」

「いやぁ、もうバレバレだから」


「「「あっ!!」」」


とうとう雲行きが怪しくなってきた所でようやく先生が復活した。
固まる三人。
と思いきや、三人共普段通りの様子。
あれ…?


「…銀八?お前、頭から血が…大丈夫か?」

「いいから。はい、お前ら今やってることをやめなさい」

「なんでぃ。せっかく良いところだったのに」

「ていうか始めたばっかだったよね」

「いいから!!ちょ、先生泣くよ!?晋ちゃんが嫌がってるでしょ!!没収だ。高杉没収!!」


先生わけわからないから。
高杉さんを二人から没収?

が二人は渋々、高杉さんはほっとした顔で机にごとりと何かを置いた。
その行動にクラス全員が三人を見る。


「……えっ?何これ」

「へっ?だからゲーム。なんでばれたんでさぁ、音消してたのに」

「ちぇー、レース始まったばっかだったのになぁ。見たかったな、コーナーを曲がりきれなくて体を揺らす晋助」

「お前らがぶつけてきたり意地悪なことばっかするからだろ!!」


ぎゃあぎゃあと言い合いを始める三人。
えーと…。


「…………」


なにこの脱力感。
三人共ただレースゲームをしてただけだなんて。
先生は大きくため息を吐くと高杉さんを抱き締めた。


「うわっ、なんだ銀八?」

「うん。三人共ちゃんと授業を聞きなさい。もう仕方ないなぁよしよし、晋ちゃぁぁあん!!」

「!?、ちょ、泣くなよ銀八!?」


ぽんぽんと高杉さんが先生の頭を撫でてあげる。
それをにやにやしながら見ている神威さんと沖田さん。


「うわぁ、先生何と誤解したんでぃ」

「やだなぁ先生。俺達が二人で晋助にそういうことしたら、晋助学校これないから」

「冗談でもやめてくんない?先生いじめてそんなに楽しい?」

「はぁ?なんの話だ神威、沖田ぁ」

「んーん、晋助は知らなくていいんだよ」

「汚れた大人の思考でさぁ」






「……どうやらわざとだったみてぇだな」


最後に土方さんがそう言うと授業の終わりのチャイムが鳴った。



終わり


170cmトリオが仲良くゲームやってる小説のほうを誰か書いてください。
これ書いててひたすら読みたくなった。




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