いろいろだよ(・ω・´)弐

□しょおぐんさまげーむ。
1ページ/2ページ





大雪が降った日の放課後。
大体の奴らは雪道の中を普通に帰宅したが、運悪く土方さんと俺が乗る筈だった電車が事故を起こし、それが動き出すまで教室待機を命じられた。俺達二人以外にも帰れなくなった生徒はいるらしく、教師は帰宅が困難になりそうな人を外して万が一の為に全員待機。
なので3年Z組には勿論、担任の銀八先生がついていて。銀八が残るならと高杉も教室にいて。皆がいるという理由で神威も帰宅せず、教室に残ると言い出した。

そうして今。
暖房はきいてる暖かい教室の中で5人で向き合っているわけなんですが。当然、こんな状況になるなど予想出来るわけがないので、やることがなくてすげぇ暇。因みに神楽は帰りました。つーか、なんでだよ、彼氏置いてくな。
……とにかく。
暇で暇で何故か皆無言で向き合っていると、銀八が頭をかきながら深いため息を吐いた。


銀「…なんか何もしないで向き合ってんの疲れねぇ?適当にゲームでもすっか?」


それはいいと神威が頷く。確かにこのままでは息が詰まる。
けれど。


沖「ゲームするっつっても道具がないから大したこと出来なくないですかぃ?」
銀「大丈夫。先生いい案があんだよ。割り箸だったら各教室にあるし」
高「…割り箸?割り箸で何すんの銀八」
銀「晋ちゃんはやったことないかなぁ。合コンでよくやるあのゲームだよ」
土「……うわぁ、野郎ばっかでか」
沖「土方さんは女子とあれこれしたいということですかぃ」
土「そういうわけじゃねぇが」
威「あはは、割り箸発見。作ったよ、先生」


割り箸と聞いて直ぐにピンときたらしい神威が5本それを出して。そのうち、4本に1から4までの数字を、残りの1本に漢字二文字を書き、皆の中央に置く。
漢字二文字…それは将軍という文字。
誰もが知ってる合コンで定番のあのゲーム。先生も面白いことを思い付きますねぃ。
にやり、口角が上がる。運が大半を占めるゲームだけどあわよくば死ね。土方。


威「じゃあ早速、始めよっか。せんせー、割り箸いれるのペン立てでいいよね?」
銀「ああ、中身出してな」
威「勿論そうするよ」


5人の中で神威と銀八という敵に回してはいけない2人が仕切る。それでかは知らないが土方さんもちゃんと参加するようだ。


威「よし、準備完了。じゃあ、いくよ?」
高「おう」
威「将軍様だーれだ?」

「「「「……ッッ」」」」


5人が一斉に引く。無駄に殺気めいたものを感じたが気にしない。割り箸を見る。俺が引いたのは2番。チッ、将軍じゃねぇ。誰が将軍になったんだ、と、神威がにっこり笑って手を挙げた。


威「将軍になっちゃった」
高「……マジかよ」


……初っぱなから鬼ですかぃ。誰もが顔をひきつらせる。そんな反応をガン無視して、将軍様は嬉しそうに命令を下した。


威「1番の人、3番の人にキス」
高「意外に普通…?」
威「口にディープで☆」
「!?」


一瞬、普通かと思いやしたが認識が甘かったようです。素で固まりやした。よかった2番で。見ると、高杉も安心したように息を吐いている。どうやら違ったようだ。
……ということは。


土「……俺、3番」
銀「そうか。相手は土方か」
高「…………へぇ」
沖「…うわぁ」
威「…あはは」


にぃっこりと2人が笑う。楽しそうな銀八と…土方さんを射殺しそうな殺気を放つ高杉が。それを見て御愁傷様、土方さん。あなたのことは忘れやせん。


土「いやいや、ねぇだろ。これはない。誰も喜ばないからね!何も生まれないからね!」
銀「大丈夫だ、土方。お前と俺は王道だぜ」
土「いや、なんの!?」
高「土方ぁ。たぁっぷり味わえばいいぜぇ…?」
土「怖い!嫌に寛容なのが逆に怖い!」
威「言っとくけど将軍の命令は絶対だからね?」
沖「そうですぜぃ土方さん。男なら」

覚悟、決めなせぇ。

土「……ッッ!!」
銀「……すぐ終わらせてやるよ」
土「う、あ…!!んんんんんッッッ!!」


その後、2分間程。
卑猥な水音が教室中に響きやした。


土「…………………………」
高「銀八。口ゆすいで歯ぁ磨いてうがいしてこい。今すぐしねぇと一週間はキスしねぇぞ」
銀「はいはい。んじゃちょっと行ってくるわ」
高「ん。でだ、土方」
土「……!…な、なんだよ」
高「ちょっと…歯と舌抜こうか(いい笑顔)」
土「へ、はぁ!?」
高「歯とかけた返事か?面白くねぇぞ。安心しろ、すぐ終わらすから」
土「!!!?やめ、!!ッッいだああああああああ!!」


土方さん、ドンマイ☆
さっさと召されてくだせぇ。
そうこうしていると銀八も帰ってきた。高杉もカッターを出した辺りで土方さんがマジ泣きし始めると気がすんだのか、いつも通りに戻り席につく。
割り箸をまたペン立てにいれて。


威「将軍様だーれだっ」


直ぐに二回戦開始。今度はさっきより早く引けたが結果は4番。中々当たりませんねぃ。さて、将軍は誰だろうと見ると涙のあとが残っている土方さんが、仏頂面でいきなり命令してきた。


土「2番が4番にディープキスだ」
沖「…あーらら、お返しですかぃ、土方さん」
銀「ヤケになったら駄目だよー?将軍なんだから」
威「戦法は真似してばかりじゃ駄目なんだよ?」
土「うるせぇ!他に思い付かなかったんだよ!」


つーか、俺4番だわ。誰だ、2番の奴。チラリ、高杉が此方を向く。


高「沖田、4番?」
沖「じゃあ高杉が2番ですかぃ?」
高「おう」
銀「…うわぁ、なんで俺に当たんないかな」
威「まぁまぁ」


まぁ、高杉にされるなら大丈夫だろぃ。いつもは神楽にする立場だからたまにはされるのも、いやいや。ふと思う。高杉がいつもキスしてる相手を。


沖「………」
高「おーきたっ」


高杉が俺の前にくる。余裕そうに笑ってて、それに笑い返す。頬にゆっくり触れられ、上を向く。高杉の顔がこんなに近くにあんの初めてだ。当たり前だけど。つーか、本当に花のない将軍様ゲームだ。野郎同士のキスとか、


「…っ!」


目を細めた高杉が無駄に色っぽく微笑む。するり、指が頬から首筋に落ちる。ゆっくり撫でられて背中がゾクリとした。溶かすように優しく唇を舐められて、ちょ、なんでぃ、これ、あつ…ッッ!!
やべぇ。こいつ慣れすぎてる。


「…っんぁ」
「ん…ッ」


舌が咥内に入ってくる。上顎を舐められ体が強張る。歯列をなぞられ、舌を絡めて甘噛みされて。その度、体が震えそうになるのをなんとか堪え、自分でもそれを動かし、反撃してやった。強く噛み返し、吸ってやる。と高杉がヒクンと震えて。ざまぁみろ。


「ぁ、ん…っふぁ…ッッ」
「ふぅ、ん、…はッ、ぁ…」


舌を伝い、唾液が送られてくる。抵抗する力は出ず、飲み込んでしまう。高杉の方もたまに唾液吸い喉を動かす。少し上気し赤い顔に潤んだ瞳。きっと俺も同じ顔になってる。
最後に。ゆっくりと口を離して、互いに垂れた唾液を舐めあう頃には。高杉は俺の膝の上に正面に向かいあうよう座り、俺は高杉の腰をしっかり抱いて、響く卑猥な音も気にせず、ただきれーになるように…。


銀「はい、そこまでー!イチャイチャしすぎだからね?」
威「あはは、ばっちりムービーで撮ってたくせによく言うよ。総悟ー、神楽がいるのに駄目じゃない」
銀「そっちも写メりまくってたくせによく言うな」
沖高「……………」


ぼぉっとする頭で神威と銀八に引き剥がされながら高杉と2人、赤面して固まっている土方さんを見る。
…どうしたんですかぃ、土方さん。


沖高「エロすぎて勃ったぁ?」
土「は?ちがっ!」
銀「マジでか土方」
威「しょうがないなぁ」
土「んな、わけねぇだろ!!」


じゃあ、なんで動かないんですかぃ?
窓の外を見る。連絡はなく、雪はまだどんどん降っている。
暇な時間は続くようでさぁ。






.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ