いろいろだよ(・ω・´)

□妥協
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何のつもりか銀時が馬鹿面晒して俺の所に来やがった。
いつもは俺が勝手に奴の万事屋に行くだけでコイツがここへ来たことは数えるほどしかない。
そのこと自体には手放しに喜ぶべきなんだろうが…時期が悪ィ。
今はそのキラキラ光る銀髪がぎらついて見えて、心底忌々しい。

「…何しに来やがった。」

隠すことなく睨みつけてやっても銀時は心地よさそうに受け流すだけだ。

暖簾に腕押し。

そんな上手いこと言ったバカはどこのどいつだ。
この世界もろとも消えちまえばいいのに。

「高杉で遊びに。不貞腐れてないで銀さんと遊ぼ。」

「いくつの餓鬼だ、てめぇは。」

しかも俺“と”じゃなくて俺“で”遊ぶのかよッ。
ふざけんな、帰れ!!

「なんでそんな人気投票落ちちゃったくれぇで落ち込むわけ?」

「てめぇ…わかっててそう言うか。」

「だってさー、実際落ちてんだろ。神威と総一郎くんに続いて高杉だろ。170トリオ並んでんなー。」

すげー、とか言いながら銀時が目を細めて笑う。
それに腹が立つやら悲しいやらで銀時に背を向けて座ってみた。
だいたいなんで神威がんなに票取ってんだ?
俺より出番少なかったよな??

「にしても神威ほんとすげーわ。何したらこんな昇り詰められるわけ?組織票とか使ってんのか。…まぁその辺に関しては志村姉とか、言っちゃえば高杉も怪しいとこだけど。」

上に立つ人間ってのはすりぃよな、ぼやいて銀時は欠伸を噛みしめる。
神威の話か、と思っていたら思わぬところで俺の名前が飛び出して来た。
いや鬼兵隊とかあるけど…

「んな底意地汚ェことするわけあるめェ。」

「いやいやわっかんねぇよ?お前来島とかに心酔されてっし。だいたい鬼兵隊なんておめぇが色気振りまいて作ったようなもんだろ。」


「…わかった。俺をバカにしたいだけみてぇだから立て。バッサリ斬ってやらぁ。」

近くに置かれた刀を手に取りそのまま刀身を抜こうとして、銀時が慌てて止めに入る。




「…ごめんなさい。考えたらちょっと腹立って言わずにいれなかっただけです。」

「………」

てめぇは俺をなんだと思ってんだ?
能面の顔に口角を上げて銀時を見れば銀時はますます焦る。
その様がちょっとだけ面白くて。
でも1位のこいつが目の前からいなくなればいいと心にもないことを考えた。

その上2位が土方なんざ虫の居所が悪くなって当たり前だろ?
銀時の隣は俺のモンだろ?
なんで土方がいんだよ。
ムカつく。殺してェ。
殺したら順位も上がるしいいだろ、なんか前も似たようなことやってた奴いたし。

「…ちょっと江戸行って真選組潰してくる。」


「ぇ?ちょっ…一体どこからそんな話になったんだよ。」

ふらりと立ちあがって、もちろん愛刀を携えてさて行くかと襖に手をかければ、銀時が瞠目して俺の手を掴んで来た。
それだけじゃ飽き足らず襖から離れた方へと移動させられる。


「離せッ!!俺ァ土方を殺にいくッッ」

「とりあえず、そーいうテロ活動は止めなさい。」

「テロじゃねェ!私事だ!」

「ならなおさら行くんじゃねぇよ。」

すとんと畳の上へ逆戻り。
けど俺だってそんな素直に人…銀時であっても従うってのはなんとなく嫌だ。
だから銀時を無視して行こうと試みるも、がっしり、痛いほどに腕を掴まれて動きようがない。
腕一本でこれじゃ、全力出しても敵わねぇしこれ絶対明日ンなったら手形くっきりだろ。


まぁ、それは別にどうでもいい。どうせ消える。
けど、邪魔すンじゃねェよ、銀時ぃ。

「てめぇはあんな犬がてめぇに近い順位で満足かァ?妙に嬉しそうに俺のことバカにしやがって。何が嬉しいんだ、俺と離れたことか。」

だったら殺す。何が何でも殺す。四の五の言っても斬る。

「…晋助の人気が下がったこと?」

一瞬考える素振りを見せて最悪な言葉を叩きだした銀時。
…もうコイツ斬っても俺は悪くねェよな?
むしろんなこと言われてる俺の方が可哀想な奴だろ。
不穏な空気を纏い始めた俺に、銀時は、

「何考えてんの?弁明も聞けよ。」

と言い放った。
あまりにも真剣な声で言うから、仕方ないと黙って続きを促してみる。

「まー人気っつっても票数が増えてたらあんま喜べねぇけど、高杉の順位が落ちたってことは」

「落ちたって言うな。」

「は?」

「落ちたって言うな。下がったって言え。」

「……どこに何の違いがあるのかわかんねぇけど、じゃあ下がったってことはさぁ、それだけ晋助の方に向く目が少なくなったってこったろ?おめぇを見てんのは俺だけで十分だと思わね?」

実際前は人気高すぎてちょーっとかなりイラッときたんだよね、と呑気に銀時は呟く。
それに俺がイラッとくるのは考えにないらしい。

「何が十分なんだよ。全然十分じゃねェよ。数字だけでもてめぇに近い方が俺ァいい。」

くだらねェ嫉妬で馬鹿言ってんな。
どうせてめぇに近付けるなんざ本誌には全然ねぇンだ。
こんな時くらい欲張って何が悪い。
それにてめぇは堂々の1位じゃねェか。
人にはそんな都合いいこと言っといて…俺が嫉妬しねェとでも思ってんのか。

「何がそんなに不服?いいじゃん。俺にとっちゃ晋助が1位だけど?」

そんなのは関係ねェ。
嬉しいことは嬉しいけどな。
けど眼に見える形でそーいうのが欲しい。
そう思っちゃ悪ィかよ。




けどな、俺の順位が上がって銀時がイラッとして何かしでかしたら。

銀魂終わるか、俺が終わるんじゃね?
それはちょっと避けてェよな。
でも順位も欲しい…。



………まてよ。
俺が望むこたァとにかく銀時と順位が近ェことだろ?
つまり別に高い順位目指してるわけじゃねェ。








「銀時、お前今度順位落ちろ。4位か5位くれぇに。」

「ぇ?それちょっと主人公として有り得なくね?」





end



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