小説


□空へ続く階段
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私の将来の夢は幸せになる℃磨Bただそれだけだった。


就きたい職業は特になかったし、結婚願望も特になかった。
もし家庭を持ったらいいお母さんになる、漠然とした理想だけだった。
本当に結婚できるとは思っていなかったから。


幸せになれればいい、それだけなのに、私にとっての幸せ≠ェ何なのかよく分からなかった。


大好きなイチゴを食べてもお菓子を食べても、友達と遊んでも長い時間おしゃべりしても、買い物をしても、満足するけど何か違っていた。


だけど幸せじゃないと思うときは何度もあった。私は幸せになれないのだと思うときは何度も何度もあった。

必要とされていないのだと、役立たずだと。





なんて神様は意地悪なのだろう。一番欲しいものが手に入らないなんて。


なんて神様は残酷なのだろう。必要とされていないのに生かすなんて。


私がここにいる理由は何ですか。どうか教えてください。幸せになる方法。
願いはただ一つなんです。

私が歩むべき道は、今歩いている道と違うのですか。どうしたらいいのか、もう分からないのです。





私が存在していようがいまいが世界には何の変わりはなく、ただ同じように時が過ぎていく。
雲が流れ、人がすれ違い、時間は全てに平等に、残酷に、幸福に、淡々とただ消えてゆく。

忘却を恐れたところで無意味であり、人がどんなに無力か気付かされ、どうしようもない事だ。

だから徐々に薄れていく記憶は仕方がない。


私一人が他の何物にも代え難いと思っても相手が忘れてしまってはガラスで出来た大した価値のない偽りの宝石となってしまう。

見せかけだけの、安っぽい輝きからは何も感じる事が出来なくなるだろう。


どんなに想っても全てを伝える事は不可能なのだ。


私ではないのだから。



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