★散文置き場

□悲願の香り
1ページ/1ページ








届く言葉、と
届かない言葉、





届かない言葉、と
届けたい言葉





届かないはずなのに、
届いてしまった、心にもない言葉





届くのに、
届けなかった、伝えたい言葉







心に突き刺さったまま、
ドクドク、と、生きてる証を垂れ流し
古い傷口を新しい傷口で抉って、
消えないように、治らないように、また、傷つける







あたし、生きてるんだなぁ
血塗れになりながらも、心臓は私を生かす
まだ、死ねないんだなぁ
突き刺した言葉の破片を触って、吹き出す赤は私を染める





塞がらない、傷
治さない、、傷
言えない、嘘
癒えない、、嘘





麻薬みたいに、やめられなくて
気づいたら、身体中に走る傷に
怖くなって、怖がられて
傷つける術を、奪われて






実感できない、あたしの生
届かない、あたしの声
消えてしまう、私の存在
残る亡骸、あたしの燃えカス








それでもあたし、
生きてるんだなぁ
伝えたかった言葉は、
その言葉だけは死なないんだなぁ





あたし、生きてたよ
私は燃えカスでも、確かに存在してた
私の中で赤は巡り、あたしの生を繋いでいた
私、生きてたんだよ








届いたよ、言葉が
万人には届かなかった言葉でも、
幾千の人に届いたよ
確かに受け取ったよ、あたしの言葉









あたし、生きてたよ
これからもずっと、ここに在るよ










あたし、生きてるんだよ










fin.






.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ