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□裏腹
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Pluuu…

「は「もちもち?!!先生?!?今ろこにいゆの!!!」

「…N.Yだよ」

「N.Y?!
どうしてピノコ連えてかなかったの?!」 

「仕事なんだ。
お前には家を頼みたかったんだよ」

「……なんで相談してくえなかったの?」 

「言ったらお前、死んでもついてくるだろう」 

「だからって!
ピノコお夕飯の支度して、先生の分もご飯用意して待ってたのに!!ひろい!!」

「…あぁ」 

「あぁじゃないよのさ!!
何か言うことあるれちょ!」

「…すまない…」

「もぅ…れ、いつ帰ってくゆの」

「約2ヶ月かかる」

「2ヶ月?!!
2ヶ月帰って来ないの?!
なんれそんな大事なこと言わないよのさあ!!」

「だから言ったらおまえ「そういう問題じゃないれちょ!!
ピノコ心配してンの!!!」

「あぁ…すまない」

「全く…こえから毎日電話しまちゅかやね!
浮気したやゆゆさないかや!
じゃーね!!」

Pi

「……っふー…」

「(といってもなぁ…)」

「先生?どうなさったの?」

「いや、なんでもないよ」

「ずいぶん怒鳴ってらっしゃったけど…もしかして奥さん?」

「あぁ…いや、娘さ」

「先生お子さんいらっしゃるの?」

「娘みたいなものだ」

「ふふ…そうよね…
こんなダンディな方がパパだなんて、笑ってしまうもの」

ギィ、とスプリングが唸る。
知らない香水がツツ、と頬をなでる。

「(こんな仕事、連れてこれるはずがない)」

「先生?」

「な、なんだ?」

「今日は疲れたでしょう。
もう寝ましょ」

「あぁ、そうしよう」

「それじゃ先生、おやすみなさい」

Chu.

バタン

「……はぁ…」

「(連れてこれるはずないんだ…!!)」



久しぶりの海外オペ。
私がわざわざ出向くということは、それだけ高額な金を出す酔狂な患者だということ。
2000万ドル。
ここまでくるとどんな場所でも行ってしまう。
患者は60代の男性。彼女は患者の娘だ。

この時点で彼女は連れてこれない。
しかも外人はスキンシップが多い。
キッスは日常茶飯事。
私に近寄る女に暴言を吐き、その女に子供扱いされて怒り狂う彼女は手を付けられない。
毎度のこと、賢明な判断だと自分でも思う。
さて…今夜はもう寝よう。


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